2012 Fiscal Year Research-status Report
シダPHY3光受容体の青色光反応を制御するフィトクロム光センシング機構の解明
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23570061
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鐘ヶ江 健 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70264588)
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Keywords | 光受容体 / フィトクロム / フォトトロピン / ホウライシダ / 光屈性 |
Research Abstract |
本研究課題は、シダ光受容体PHY3のフィトクロム光センシング部位 Photosensory Core Module (PCM) の青色光受容機構に着目し、PHY3の青色光シグナル受容メカニズム、さらには赤色光/青色光シグナルの分子内相乗効果メカニズムの解明に向けて新たな知見を得ることを目的としている。PCMを構成する3つのサブドメイン(PAS/GAF/PHY)を、青色光反応を誘導しないシロイヌナズナPHYBのものと置換した改変PHY3を用いて、PHY3の青色光受容機構を解明する。これらの研究によりシダ植物の弱光環境適応機構や植物進化の分野に新たな知見を与えることが期待さるとともに、フィトクロム分子の光応答波長決定のメカニズムの解明にも新たな情報をもたらすことが期待される。 今年度は研究実施計画に従い、解析対象となる改変PHY3導入形質転換シロイヌナズナ系統の確立を目指し、改変PHY3遺伝子の構築と形質転換植物体作成、さらに遺伝子導入植物体の表現型の解析を進めた。 ・昨年度に引き続きT2系統から薬剤耐性分離比による選抜を行い、ホモのT3系統を複数単離することに成功した。得られた系統について光屈性誘導の表現型を確認したところ、残念ながら弱い光屈性しか示さない傾向が見られており、現在照射光強度を変更するなど、PHYB:PHY3融合光受容体の光反応性に関して詳細な解析を行っている。 ・ 上記の結果を得て、薬剤耐性による選抜とは別に、白色光による光屈性反応を指標として表現型スクリーニングを開始した。現在、強い光屈性を示すT2個体を選抜し、生育を進めている。 ・ また、PHYB PCMの代わりにPHYA PCMをPHY3に融合した改変PHY3の構築を進めており、PCMによる光反応性の違いがどのようになるのかを新たに解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、当初目的とした改変PHY3遺伝子導入植物体の表現型解析に着手している。また、これまでに得られた結果から新たな改変PHY3を構築し、解析に向けて進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に添って改変PHY3遺伝子導入植物の表現型解析を進める。また、新たに選抜している遺伝子導入植物体の解析、さらに新規改変PHY3遺伝子による光反応性の比較を通して、PHY3光受容特性の解明を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的な予算執行で研究を進められたため。この研究費は、実験遂行に向けて、消耗品、旅費、謝金として使用する予定である。
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