2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物に広く存在する機能未知青色光受容体様LOVタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
23570065
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
笠原 賢洋 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70361748)
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Keywords | 光情報伝達 |
Research Abstract |
本年度は、1.LLP遺伝子破壊株のトランスクリプトーム解析、2.シロイヌナズナLLPプロモーターGUS株(PLLP-GUS株)によるプロモーター解析を行った。1について、ヒメツリガネゴケ原糸体細胞を、赤色光の連続光で3日間培養後、青色光を赤色を背景光として2時間照射し、青色光照射前後のトランスクリプトームを比較することで青色光の遺伝子発現への影響を調べた。その結果、野生株において、651遺伝子が3倍以上に転写物量が増加した。LLP遺伝子破壊株においても同様に転写物量が増加しており、野生株との顕著な違いは見つからなかった。このことからLLPは、大規模な遺伝子発現変化を介した生理機能調節は行っていないことが明らかとなった。LLPは、シロイヌナズナのCRYや PHYのように遺伝子発現を通して光情報を生理現象へと媒介するのではなく、むしろPHOTのように特定のタンパク質や酵素の活性を特異的に調節することで、光情報を生理現象へとつなげる光受容体として機能している可能性がある。2について、PLLP-GUS株の葉、茎、根、花の全ての器官がGUS染色されたことから、LLPが植物のあらゆる器官で働いていることが示唆された。葉においては、若い葉で染まり、葉が成熟すると染まらなくなることから、若い成長している細胞において重要な機能を持つことが示唆された。 本研究では、LLPの明確な生理機能を解明するまでには至らなかったが、全く手がつけられていなかった青色光受容体様分子の機能解明に向けて研究を行い、トランスクリプトーム解析などからLLPの作用機作に関して情報を得られたことは、今後の解析に向けた大きな成果であると考えられる。
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