2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570066
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (70444370)
|
Keywords | 生物時計 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
シアノバクテリアにおいて生物時計はゲノム全体にわたってグローバルに遺伝子発現を制御していることがDNAマイクロアレイ解析により示され、シアノバクテリアの3つのKai時計タンパク 質による生物時計の再構成によって、時間計測という複雑な分子機構がタンパク質に組込まれていることが明らかにされた。しかし、 生物時計によって生み出された概日リズムを、細胞がどのようにして遺伝子発現という形で出力しているのかについては不明な点が多い。本研究では、本来生物時計をもたない生物に時計機能を付与する試みを通して、タンパク質による分子時計が遺伝子発現の生体リズムを生み出すための最小ユニットを探索することを目的とする。 今年度はシアノバクテリア由来のKaiA, KaiB, KaiCタンパク質を発現させるベクターを導入した大腸菌においてタンパク質の発現を確認した。細胞内におけるKaiCリン酸化状態の変動を分析したところ、リン酸化レベルに概日リズムが検出された。しかし、再現性に問題があったため、その原因を検討したところ、不安定な菌の生育が原因であると推察された。そこで形質転換体の培養条件の検討を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は大腸菌においてウエスタンブロット法によりタンパク質の発現を確認した。細胞内におけるKaiCリン酸化状態の変動を分析したところ、リン酸化レベルに概日リズムがみられた。形質転換体の培養条件の検討を実施した。条件検討の結果、概ね培養を安定化させることが可能になった。さらに、タンパク質発現の誘導剤濃度に応答して、概日リズムが検出されることを示唆する結果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は形質転換体大腸菌においてレポーター遺伝子を導入し、その発現をモニターすることで、Kaiタンパク質による概日時計が細胞内で機能しているかを検討する。一方、昨年度実施していた光合成細菌における生物時計構築においても、さらに検討をすすめたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
12年度の経費執行において、より効率的に物品購入を行った結果、未使用金が生じた。来年度は未使用金も含め主に物品費として使用予定である。細胞培養のための培地や試薬、ガラス器具やプラスティック器具などの消耗品、分子生物学実験のための酵素や試薬、生化学実験のための試薬が主となる。実験の進捗状況により細胞培養のためのインキュベーターが不足する場合は追加購入する予定である。研究成果発表および資料収集のための旅費、論文投稿費用にも使用予定である。
|