2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570066
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (70444370)
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Keywords | 生物時計 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
シアノバクテリアにおいて、生物時計はゲノム全体にわたってグローバルに遺伝子発現を制御することが報告されている。シアノバクテリアの3つのKai時計タンパク質による生物時計の再構成によって、時間計測という複雑な分子機構がタンパク質に組込まれていることが明らかにされた。しかし、生物時計によって生み出された概日リズムを、細胞がどのようにして遺伝子発現という形で出力しているのかについては不明な点が多い。本研究では、本来生物時計をもたない生物に時計機能を付与する試みを通して、タンパク質による分子時計が遺伝子発現の生体リズムを生み出すための最小ユニットを探索することを目的とする。 これまでの結果から、菌の安定な増殖速度が細胞内でのリン酸化リズムを精度高く維持するために必須であると考えられたため、前年度は連続培養下での菌の安定的生育条件を検討した。今年度も引き続き条件検討した。それに伴い、3つの時計タンパク質の発現比率を制御することが重要であることが示唆される結果を得た。これに対応するため発現系の改変を実施した。さらにレポーターによる発現解析を実施した。また、光合成細菌における発現系も新たに構築し形質転換体を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、大腸菌において細胞内におけるKaiCリン酸化状態の変動を分析し、安定的にリズムが生じる条件検討を行った。発現系にも改良を加えることで細胞内での概日リズム構築にむけて着実に進展している。また、新たなに検討すべき重要な点も明らかとなり、現在解析中である。レポーター遺伝子による発現解析に興味深い結果が得られつつあるため、1年延長しさらに検討することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、レポーター遺伝子を導入した大腸菌において、その発現をモニターすることで、Kaiタンパク質による概日時計が細胞内で機能を詳細に検討する。一方、光合成細菌における生物時計構築においても、大腸菌同様の解析検討をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
量比を安定に保ってタンパク質を発現させるに必要な解決点が生じたことにより、レポーター遺伝子による発現解析を実施するための時期がやや遅れた。また、細胞破砕のための装置を発注したが、メーカーの作製時期が遅れ、年度内に納品されなった。 次年度の研究費は、主に物品費として使用予定である。細胞培養のための培地や試薬、ガラス器具やプラスティック器具などの消耗品、分子生物学実験のための酵素や試薬、生化学実験のための試薬が主となる。実験の進捗状況により試料を凍結して保存するためのメディカルフリーザーを購入予定である。研究成果発表および資料収集のための旅費、論文投稿費用にも使用予定である。
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Research Products
(4 results)