2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570079
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤江 誠 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (20274110)
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Keywords | 青枯病菌 / エンドグルカナーゼ / 耐病性 / エフェクター / CWDE / タバコ培養細胞 / BY-2 / 維管束 |
Research Abstract |
青枯病菌の感染プロセスの研究において、(1)青枯病菌がトマトの芽生えに側根を誘導する現象、(2)青枯病菌耐性の品種においては、菌の導管内での移動か抑制される現象を見出しており、本研究ではこれらの現象の解析を目標としている。 23年度において、主に(2)の項目について研究を行い、青枯病菌の細胞壁分解酵素(CWDE)のうち、セルロースを分解するエンドグルカナーゼ破壊株をGFPで標識した株をトマト芽生えに感染させ、菌の動態を蛍光顕微鏡によりリアルタイムで解析した。その結果、主根と側根の境界、および主根と茎の境界において、菌の移動が遅延・停止する現象を確認した。青枯病菌の植物体内における増殖・移動に関与するCWDEの機能解析を推進するにはモデル実験系が必要であると考え、タバコ培養細胞BY-2を利用した「青枯病菌感染モデル系の構築」を中心に24年度の研究を行った。 まず、BY-2細胞に対して青枯病菌が誘引されるかを検討した。カルス化したBY-2細胞に対して、青枯病菌が誘引される事を確認した。次に、BY-2細胞と青枯病菌野生株(MAFF 106611)、あるいはEgl破壊株を混合し、BY-2細胞への吸着を解析した。蛍光顕微鏡による観察の結果、Egl破壊株は野生株に比べBY-2細胞への吸着が有意に低下していた。これより、Eglが青枯病菌感染の初期段階である植物細胞への吸着に深く関わっていることが、細胞レベルで示された。続いて、病害応答に関係するタバコの遺伝子(EREBP、PR-1、PR-4)の発現を定量PCRにより解析した。タバコに対して親和性の株と、非親和性の株とでは感染時に異なる発現パターンが誘導され、遺伝子発現レベルでもBY-2細胞が青枯病菌感染モデルとして利用可能なことが示された。現在、BY-2への感染系でのエフェクターの発現を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)青枯病菌の感染による側根誘導現象(茎からも発根する)に関与する青枯病菌側のファクターの解析: この研究項目について は、今後さらに研究を加速する必要がある。 当初計画においては、青枯病菌の持つtype III effecterを網羅的に取得し、その発現を解析する予定であったが、24年度までは、研究推進の優先度を考慮して(2)の項目に重点をおいて研究を遂行した。25年度では新たに研究チームに加わった学生と共に、当初予定の解析を詳細に実施する。 (2)青枯病菌に耐性のトマト品種において、菌が導管内を移動する能力が抑制される機構の解明: この項目については、おおむね予定通り研究が進行している。24年度までに、野生株及び、egl(エンドグルカナーゼ)破壊株を蛍光標識し、植物体内への青枯病菌の侵入と植物体 内での移動の様式をリアルタイムモニタリンクで比較した結果、エンドグルカナーゼが菌の移動・増殖において重要な役割を果たす事を観察した。さらに、主根と側根の接合部付近に おいて、菌体の進行が抑制されることから、何らかの物理的な障壁の存在を推察した。(3)モデル実験系の確立: 24年度までにタバコ培養細胞を利用した青枯病菌感染実験系を確立した。(1)で取得するeffecterの細胞間で移行の解析、CWDE欠失青枯病菌株の病原性解析等に応用し、全体の研究を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)effecterの網羅的解析: 23年度に実施予定であった、青枯病菌の3型effecterの発現プロフィールの定量PCR法による網羅的解析を実施する。青枯病菌のegl破壊株と野生株の感染の各ステージで、植物体またはBY-2細胞からトータルRNAを取得し、側根形成への関与が予測されるeffecterについて解析を進める。 (2)effecter-GFP融合タンパク質の発現: 重要であると予想されたeffecter遺伝子については、effecterタンパク質が青枯病菌から植物細胞に注入される過程をリアルタイムで追跡する。GFPとの融合タンパク質を発現するコンストラクトを作製し、青枯病菌株に形質転換し細胞間でのeffecterの移動を顕微鏡観察する。 (3)トマトの根の三次元構造の解析 23年度の研究で側根と主根の接続部や主根と茎の接続部等において、青枯病菌の進行を抑制 する構造の存在が示唆された。青枯病菌の移動をGFPでモニタリングしなから、光学顕微鏡を用いて導管構造を3次元で解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)effecterの網羅的な解析、及びGFPとの融合遺伝子の発現解析のための分子生物学用試薬の購入に、20万円を支出する。根の三次元構造解析のためのソフトウェアに20万円を支出する。 (2)研究成果を発表するための旅費に10万円を支出する。 (3)研究成果の論文発表のために、10万円を支出する。
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Research Products
(2 results)