2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570082
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
永田 典子 日本女子大学, 理学部, 准教授 (40311352)
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Keywords | 花粉 / シロイヌナズナ / ポーレンコート / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
花粉外壁に存在する脂質系粘着物質のポーレンコートは、葯タペータム内の脂質系オルガネラが内包する脂質成分の一部から作られ ると言われているが、その脂質成分の局在性・機能性やポーレンコート形成の仕組みは未だ不明のままである。また、花粉内部にも多くの脂質系オルガネラが存在するが、その構造および役割についてはわかっていない点が多い。私は、電子顕微鏡レベ ルでの葯における脂質の局在マップを作成し、シロイヌナズナ脂質関連遺伝子欠損変異体の観察を行い、脂質系オルガネラの構造と機能に迫ることを目的にした。 これまでに、ステロールの脂質輸送に関連すると予想されるトランスポーターの欠損突然変異体やワックス合成異常を示す突然変異体を材料に、ポーレンコート形成のプロセスを詳細に電子顕微鏡観察を行った。その結果、前者の変異体では、タペータム膜上に脂質系物質の蓄積がみられ、さらに葯室内に異常な脂質の凝集物がみられた。また後者の変異体で は、ポーレンコートに形態的異常が観察された。以上の結果は、ステロールやワックスといった脂質が、花粉壁・ポーレンコートの形 成に重要な役割を果たしているということを示唆するものである。さらに、オートファジー欠損と予想される突然変異体もラインナップに加え、脂質の分解にも着目した解析を行った。これまで、花粉やタペータム内でオートファジーが行われているかどうかすらわかっていなかったが、今回の研究ではオートファジーが正常な花粉形成に何らかの機能を果たしているということを強く示唆するデータを得た。以上のように、脂質の生合成・蓄積・輸送、そして分解という一連のプロセスを捉えつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質系の突然変異体解析についてこれまでに3つの変異体の解析を行うことができた。1つは、これまでにない「脂質輸送」に関係する変異体であり、脂質の有無だけでなく輸送経路の解明に一歩近づく成果をあげられた。さらに、分解のプロセスにも着手でき、当初の予想よりも多くの進展があったといえる 。しかし、脂質の局在マップを完成する段階にまでは至っていないため、その点は最終年度に踏み込んだ解析をしたいと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
電子顕微鏡レベルでの葯における脂質の局在マップを作成するために、撮影方法の開発を進め、ほぼ実用化レベルにまで達した。今後はその方法を用いて脂質マップを作成し、複雑な脂質の局在性を明らかにしていきたい。あわせて、突然変異体解析にも注力して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、電子顕微鏡観察を進めるための試薬・器具等、および実験補助のアルバイト雇用費等に使用する予定である 。特に、脂質マップを作成するためには人的な作業が必要である。今年度は撮影方法の開発に時間がかかりアルバイト雇用の一部が先送りになっていたため、次年度はアルバイト雇用を増やして脂質マップ作りに力を注ぐ予定である。
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Research Products
(1 results)