2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西野 浩史 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80332477)
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Keywords | 昆虫 / 投射ニューロン / ナビゲーション / 性フェロモン / 触角 / 本能行動 / キノコ体 / 受容野 |
Research Abstract |
夜行性の動物は、視覚を補うためにしばしば匂いによるコミュニケーションを発達させている。本研究では、長い嗅感覚器(触角)を持ち、正確な匂い源定位能力をもつワモンゴキブリをモデル動物として、匂いの位置情報を符号化するニューロンの形態・生理学的基盤を明らかにすることを目的とする。 平成25年度は性フェロモン情報処理に特化した大糸球体から出力する投射ニューロンの細胞内記録・染色を継続して行い、サンプルサイズを従来よりもさらに2割程度増やすことに成功した。これにより、8タイプのニューロンの触角上の受容野を確定させることに成功した。 また、実施の遅れていた触角の局所匂い刺激に応じる触角葉内の局所介在ニューロンの細胞内記録・染色にも成功し、これが少なくとも形態学的特徴の異なる4タイプに分けられることを明らかにした。概数でいえば、細胞内記録できた局所介在ニューロンのおよそ3割が触角の特定の領域の刺激に対して興奮性、もしくは抑制性の応答を示すという驚くべき結果が得られた。 総研大との共同研究により、嗅受容細胞の軸索をビオチン・ローダミン、投射ニューロンをルシファーイエローで標識し、これを免疫電顕法により観察する実験も行ってきたが、観察領域の特定が極めて難しく、プレリミナリーな知見にとどまっている。 過去6年間の主たる研究データを集積した論文についてはほぼ完成し、投稿準備もほぼ完了している。以上、研究計画の達成率は約7割と総括できる。電顕レベルの研究については今後も共同研究として継続していく予定である。
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