2013 Fiscal Year Research-status Report
イモリ嗅細胞におけるアミノ酸応答のシグナル伝達機構と生息環境による応答の調節
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23570088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中谷 敬 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (20125040)
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Keywords | イモリ / 嗅細胞 / パッチクランプ / EOG / 匂い応答 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
2012年度に引き続き,イモリ(Cynops pyrrhogaster)を用いて嗅細胞のアミノ酸応答に関する電気生理学的解析を行った。昨年度は,EOG法を用いて,複数の異なった匂い物質を同時に嗅上皮に投与する実験を行い以下の結果を得た。投与する匂い物質の組み合わせによりEOG応答の大きさが変化し,匂い物質を単独で投与した時と比べて,EOG応答の大きさが変わらないもの,大きくなったもの,小さくなったものがあった。この事実は匂い物質の組み合わせにより,抑制や促進が起こることを示唆している。2013年度は揮発性匂い物質として isoamylacetate, n-amylacetate, cineole, およびlimonenを,アミノ酸として glutamic acid, alanine, arginine, および proline を用い,より系統的な解析を行った。それにより,昨年度に揮発性匂い応答で観察された匂いの相乗効果や抑制効果をより厳密に示すことができ,アミノ酸でも種類の違うアミノ酸刺激の組み合わせで,単純な加算ではなく,相乗効果あるいは抑制が生じるというプレリミナリーな結果を得た。また,これと並行してパッチクランプ法による単一嗅細胞の電気的特性およびアミノ酸応答の解析を行った。今後はアミノ酸応答のシグナル伝達機構を解明するため,さまざまな酵素のblockerやactivatorを用いてその効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者(学生)の確保が進まなかったことと,研究協力者(学生)のパッチクランプ技術が未熟なため,予定していた実験の進み方が遅くなったことと,予想したような効果が得られなかったのが原因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,アミノ酸応答のシグナル伝達経路を確かめる以下の実験を行い,データをより確実なものにする。1)IP3を2次メッセンジャーとするシステムの可能性を確 かめるために,2次メッセンジャー候補であるIP3そのものを電極から投与したり,DGなどIP3システムに関与する酵素の阻害剤や賦活剤を投与したりして,アミノ酸応答に対する薬物の効果を観察する。2)cAMPを2次メッセンジャーとするシステムの可能性を確かめる ために,cAMPあるいはその非分解性の異性体である8-bromo-cAMP, forskolinなどアデニル酸シクラーゼの賦活剤,IBMXなどphosphodi esteraseの阻害剤の効果を調べる。3)その他の可能性を確かめるために,G蛋白質の活性化に必要なGTP,その非分解性の異性体であるGTP-γ-S, G蛋白質を不活性化させるGDP-β-Sなどを投与することによってGタンパク質の関与を確かめる。4)複数の匂い物質(特にアミノ酸)同士の相互作用(抑制や促進)についての現象を明らかにするとともに,そのメカニズムをシグナル伝達経路と関連させて解明する。また,今回の主目的はイモリ嗅細胞のアミノ酸応答であるが,他の種と比較するために,5)同じ両生類であるカエルやマウスなど哺乳類の嗅細胞についてもアミノ酸応答の有無を調べるほか,アミノ酸受容体遺伝子の同定を試みる。6)別のプロジェクトでイモリ嗅上皮のcDNAライブラリーを作成し,その成果が得られつつあるので,アミノ酸受容体候補遺伝子の同定を行い,免疫組織化学法を用いてそれらの局在を調べる。これに関して,アメリカネブラスカ大学のPeng教授に研究協力(または指導)を求める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度までに予定していた海外渡航を来年度に行うことにしたため。 当初計画どおり,物品費は研究用消耗品・薬品の購入に用いる。旅費は海外共同研究者と打ち合わせのための渡航費および国内の学会参加費に用いる。その他は論文投稿料や論文英文校閲費に用いる。
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