2015 Fiscal Year Annual Research Report
イモリ嗅細胞におけるアミノ酸応答のシグナル伝達機構と生息環境による応答の調節
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23570088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中谷 敬 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20125040)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 嗅細胞 / イモリ / パッチクランプ法 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究から引き続いて,パッチクランプ法を用いて単離したイモリの繊毛型嗅細胞から膜電流を記録し,揮発性匂い物質およびアミノ酸に対する応答特性を解析した。その結果,繊毛型嗅細胞で揮発性匂い物質に対する応答が観察されたのに加えて,アミノ酸に対する応答が観察された。アミノ酸応答のシグナル伝達のメカニズムを明らかにするため,アデニル酸シクラーゼの活性化剤であるフォルスコリン,およびホスフォリパーゼC活性化剤であるm-3M3FBSを投与してその効果を解析し,以下の結果を得た。揮発性匂い物質に対して応答した嗅細胞はすべてフォルスコリンにも応答し,cAMPを介するシグナル伝達経路であることが確認できた。一方,アミノ酸に対して応答した嗅細胞では,フォルスコリンに応答した細胞とm-3M3FBSに応答した細胞の両方が観察された。このことから,アミノ酸に対する応答は,cAMPを介するシグナル伝達経路とIP3を介するシグナル伝達経路の両方が存在することが示唆された。なお,この研究は平成27年度からスタートした科研費の研究課題(課題番号: 15K07142)でも始めている。 また,今年度は生息環境の違い(水中飼育と陸上飼育)による嗅上皮の構造変化を免疫組織化学的方法により検証した。Gαolf では陸上飼育群は水中飼育群と比べ最大輝度が高く,1/2最大輝度の半値幅は狭いことが観察された。光学顕微鏡観察による結果から,嗅繊毛の長さは陸上飼育群と水中飼育群の間で優位な差は観察されなかった。一方Gαoの輝度では,陸上飼育群は水中飼育群に比べ高い最大輝度が観察された。この結果から,陸上飼育群は水中飼育群と比べGαoが高発現していることが示唆され,IP3シグナル伝達経路をもつ,すなわちアミノ酸に応答する嗅細胞の数が増加したことが推測される。
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Research Products
(3 results)