2011 Fiscal Year Research-status Report
ミオシン結合タンパク質による新たな筋収縮制御機構の解明
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23570089
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 成樹 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 講師 (40261896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ミオシン結合タンパク質 / C-タンパク質 / 筋 / 収縮制御 |
Research Abstract |
C-タンパク質 (Myosin binding Protein-C)は横紋筋に特徴的なミオシン結合タンパク質である。筋原繊維のA帯の領域に局在し、コネクチンやアクチンとも相互作用し、ミオシンフィラメントの安定化や筋肉の収縮制御に関与していると考えられている。これまでに多くの脊椎動物でC-タンパク質の存在が明らかになり解析が行われてきたが、無脊椎動物ではその存在が明らかになっていない。 本研究ではニワトリ心筋型C-タンパク質のアミノ酸配列をもとにKEGG databaseで脊索動物尾索類カタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)を対象にBLAST検索を行った。その結果、1176個のアミノ酸をコードするID 00178041が50%のホモロジーを持つことを明らかにした。また、ID 00178041はGhost databaseのKH.C1.113に対応し、splicing variantが3つ存在することがわかった。組織での発現様式を解明するためにRT-PCRを行った結果、幼生横紋筋と成体心筋で主にバリアント3 (V3)の発現が認められた。そこで、KH.C1.113のV3をコードするcloneをC. intestinalis genomic and cDNA resources (Kyoto University)から供与して頂いた。KH.C1.113-V3が既知のC-タンパク質と同様な機能を持っているのかを検討するために、pEGFP-C3発現ベクターに組み込み、ニワトリ胚の心筋初代培養細胞、骨格筋初代培養細胞に導入した。その結果、どちらの培養細胞でも横紋構造に組み込まれ、筋原繊維のA帯に結合できることが分かった。以上の結果より、KH.C1.113がカタユウレイボヤC-タンパクであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は(1)C-タンパク質による制御機構が脊椎動物への進化の過程でいつ獲得されたのか、及びその生理特性を明らかにすること、(2)C-タンパク質による横紋筋収縮制御のメカニズムを分子レベルで解明し、収縮システムの基本構造を明らかにするである。そこで今年度は、(1)の研究に重点を置いて、原索動物のC-タンパク質を同定し、その機能の解明を行った。この研究の成果は日本動物学会第82回大会(旭川)にて発表した。また、関連する研究成果を国際学術雑誌に2編報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H23年度に同定した原索動物C-タンパク質の機能とその構造の関係を分子細胞生物学的手法により解析し、脊椎動物のものと比較検討する。特にミオシン結合部位、アクチン結合部位を同定しその機能を明らかにする。また、抗体を作製し、横紋筋以外にも発現しているのかを明らかにする。(2)C-タンパク質による横紋筋収縮制御の分子メカニズムの解明するため、全てのアイソフォームでN端側領域のアクチン結合部位を決定する。次にアクチン-ミオシン相互作用に対してC-タンパク質が与える影響をアクトミオシンATPase活性の測定とin vitro motility assayによりin vivoのレベルで解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子工学用の試薬、生理学実験用の試薬のほかプラスティック器具などの物品費として110万円を使用する。旅費は国内1回、国外1回を予定しており、20万円使用する。外国論文の校閲として謝金を5万円、その他研究成果投稿料として5万円使用する。合計で140万円使用する。
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