2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570093
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
最上 善広 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (30166318)
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Keywords | アロメトリー / 単細胞生物 / 基礎代謝速度 / 酸素消費 / 遊泳速度 / 遊泳速度 / 3/4法則 |
Research Abstract |
個体サイズと生理現象の関係は多くの場合,アロメトリーで表現される。最も基本的な指標として基礎代謝速度があり、哺乳類だけにとどまらず多くの生物種を含んで「基礎代謝速度は体重の3/4乗に比例する(3/4乗法則)」ことが知られている。恒温動物における多くの測定に基づいて提唱されたアロメトリーの概念は他の生物での測定が進むにつれ、その適用範囲が拡大され,多細胞生物の仕切りを超え、単細胞生物にも当てはまるというのが通説となっている。しかしながら,理論の先鋭化に比べ実験事実の集積は遥かに遅れており、実験的根拠となっているデータは数十年間改訂されていない。さらに、単細胞を扱った実験研究は少なく、集約的な例として良く引用されるデータは半世紀近くもの批判の対象とはなっていない。また、アロメトリー理論は本来、動物の基礎代謝量に対して当てはめられるものであるが、単細胞生物においてはそのことに充分な注意が払われてこなかった。 本研究では、先行研究において開発された運動活性と酸素消費を同時測定できる新しい方法を応用し、単細胞生物繊毛虫での「基礎代謝」を特定する。それをもとに、単細胞生物での、代謝速度とサイズとの関係を明らかにし、繊毛虫におけるアロメトリー法則、特に3/4乗法則の妥当性を検討する。さらに、同様の測定を他の原生生物にも応用し,単細胞生物でのアロメトリー理論の普遍性の検証を行う。 粘性効果が支配的となる単細胞生物の運動では、運動によって消費されるエネルギーが代謝量の大きな割合を占めるが、これまでの測定では、運動依存的な代謝を分離することがなされてこなかった。エネルギー代謝と,運動活性の両方を高精度で同時測定可能な実験装置の検討と概念設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
小容量のチャンバーを用い,生物試料による酸素消費速度を測定すると同時に、チャンバー内部での遊泳行動を記録するために,酸素センサーを装備したオプティカル・スライス法記録のできる装置の検討を,既存の装置をもとに行った。 遊泳行動を妨げるような、撹拌をせずに酸素濃度を測定するためには、試料チャンバーの体積をなるべく小さくする必要がある。そのために,測定自体によって内部の酸素濃度が変化してしまう電気化学式センサーに代えて,前年度購入の蛍光式酸素センサーを搭載した小型測定容器の検討を行った。従来の装置では、700μl程度のチャンバー容量を実現していたが,装置の操作性が悪く,作業が繁雑になりがちであった。まずは,既存のセンサー装置の仕様を改めてチェックし,次の装置開発へ反映させる作業を行った。その結果、測定の精度を高めるためにはチャンバー容量を1/4以下にする必要があり,そのためにはセンサーチップを工夫する必要があることがわかった。PreSens社製のFibox3-MOを用いたシステムでは,蛍光センサーチップを容器内に封入したままで非破壊的に酸素濃度の計測が可能となる。このセンサーシステムを中核として、オプティカル・スライス法が可能なチャンバーを設計した。 昨年度の予備試験結果に基づき,小容量で測定値の変動が少ないチャンバー素材を探索した。しかしながら,工作性に優れ,オプティカル・スライス法の利点を生かせる素材の特定が難しく,ガラスを用いることが現時点でのベストであるとの結論に至り,工作精度の向上方法を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
ガラス素材を用いた工作技術を有する専門業者の協力を得て,本研究の中核となる小容量のチャンバーの内部での溶存酸素濃度が測定されると同時に、チャンバー内部での遊泳行動をオプティカル・スライス法で測定可能な装置の作成を進める。ガラスのみでの作成が困難となった場合を想定して,ガラスとアクリル等の工作性の優れた素材の両方の利点を生かした,ハイブリッド・チャンバーを作成する。これらの装置と既存の機器を併用して,計測経験のあるゾウリムシを試験用試料として実運用を行い、装置のファインチューニングを行う。 あわせて,共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞サイズ計測方法の確立を目指す。新たに使用可能となった,共焦点レーザー顕微鏡によって得られる光学切片をもとに、細胞体の3次元再構築を行うことで、より具体的な体積の計測を行うために,既製のアプリケーションを応用した計測法を確立する。 当面の目標として,これまでに調査済みの,サイズの異なる複数種の繊毛虫を用いたアロメトリー計測を確立することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
非浸襲的に酸素濃度が測定されると同時に、チャンバー内部での遊泳行動をオプティカル・スライス法で測定可能な装置の制作に使用する。センサーは容器内に封入可能な蛍光センサーチップを用いる。 共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞サイズ計測方法の確立を目指し,光学切片をもとに細胞体の3次元再構築からより具体的な体積の計測を行うために,既存のアプリケーションをカスタマイズする。カスタマイズが可能なアプリケーションを購入する。 アロメトリー計測に使用できる単細胞生物試料を収集し、その維持管理を行うために使用する。 試料の維持管理や,計測データの処理のための謝金を使用する。
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Research Products
(6 results)