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2012 Fiscal Year Research-status Report

ホヤ幼生視細胞の信号伝達系

Research Project

Project/Area Number 23570095
Research InstitutionUniversity of Hyogo

Principal Investigator

中川 将司  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 助教 (00212085)

Keywords視細胞 / 信号伝達系 / 進化 / Ca2+イメージング / ホヤ
Research Abstract

本研究の目的は、脊椎動物にもっと近縁な動物ホヤの視細胞内光信号伝達系を明らかにし、進化の過程で、脊椎動物型視細胞内光信号伝達系がどのように確立されたのかを考察することである。本研究では、ホヤ幼生視細胞から発現している遺伝子を抽出し、その中から視細胞伝達系に関与すると思われる遺伝子を見つけ出し、ノックダウン実験より、光信号伝達系を明らかにしようとするものである。
昨年度試みた超音波処理法による、幼生からの細胞分離は、mRNAやDNAの破壊を引き起こすとの指摘を受けたので、別な方法を模索した。幼生の細胞分離処理する時期に問題があることが分かった。GFPの蛍光が強く観察される孵化後6時間目では、体表面を覆う被嚢が発達し、超音波処理等を与えない限り細胞を分離することはできない。殆ど蛍光を観測できない孵化後2,3時間目の幼生をCa2+/Mg2+フリー人工海水に浸け、その後コラーゲナーゼ処理することで、細胞を分離することができた。分離された細胞を観察したところ、蛍光を発する細胞を確認できた。
次に細胞をバラバラになった細胞から視細胞だけを回収する方法について検討した。ゼノパスから始原生殖細胞を単離している研究者に教えてもらったナノジェクトを用いて、ホヤ視細胞の吸引を試みたが、うまくいかなかった。ホヤ幼生視細胞のサイズはゼノパス始原生殖細胞の1/3以下と小さく、ナノジェクトは吸引速度の調整ができないことが起因していると考えられる。そこで、吸引速度を細かく設定できるピコピペットを試してみた。予備実験として視細胞と同程度の大きさのビーズを使って試したところ、十分使えることが分かった。
一方、環状ヌクレオチド特異的キレートタンパク質を視細胞に発現させ、視細胞の光応答性を、カメレオンを用いて調べたが、cAMP, cGMPどちらのキレータを用いても有意な変化は得られなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

学生実験、講義に加え、博士3年の学生の指導(研究だけでなく、精神面も含めて)に、かなりの時間を取られた。論文を一報発表し、無事に博士号を取得させることはできたものの、本課題研究に取り組む時間が大幅に削減されてしまった。また本研究課題に従事してくれる学生が付かなかったことも予定外であった。限られた時間で実験を行い、細胞分離の条件を再検討した。細胞分離条件は、確立されたものの、目標とした、単離した視細胞から遺伝子の抽出、遺伝子解析にまでは至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

25年度は、本研究に携わってくれる学生が付いた。いち早く学生に実験に慣れてもらい、研究を進めたい。24年度の研究で、幼生からの細胞分離の条件はほぼ確立された。バラバラにした細胞から、ピコピペットにより視細胞を選別して回収し、超微量RNA抽出キット及びcDNA合成キットを用いて、cDNAを合成する。得られたcDNAをテンプレートして、PCR法で、オプシン、GFP等の遺伝子が発現しているかを確認する。さらに、他の組織の細胞がコンタミしていないか、チロシナーゼ遺伝子やミオシン軽鎖遺伝子等プライマーを用いて、確認する。その上で、PCR解析により、光信号伝達系に関与すると推定される遺伝子の有無を調べる。さらに、その発現を in situ hybridization等で確認する。発現が確認されたら、その遺伝子に対するアンチセンスモルフォリノオリゴを作製し、ノックダウン実験により、光信号伝達系に関与しているかをCa2+イメージング法で検証する。
予算があれば、次世代シーケンサによるシーケンス解析により、視細胞の遺伝子発現プロファイルを作製する。得られた視細胞遺伝子プロファイルを脊椎動物視細胞のものと比較することで眼の進化に関して興味深い知見が得られるかもしれない。
一方、これまでの実験結果から、ホヤ視細胞の2次メッセンジャーは、cGMPよりもむしろcAMPの可能性を示唆されている。昨年度は、キレートタンパク質強制発現させて、光応答性による影響を調べたが、うまくいかなかった。本年度は、各環状ヌクレオチド合成酵素を視細胞で過剰発現することで、その影響を調べ、2次メッセンジャーの同定を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究が進まず、購入を見合わせた画像解析ソフトを今年度購入する。
消耗品には、研究に必要な試薬類(ノックダウン実験に必要なモルフォリノオリゴ等)やガラスプラスチック類等、野生ホヤ(NBRPから購入)、珪藻(ホヤのエサ)やホヤの飼育等に必要となる水槽の補充等、顕微鏡観察に必要なランプ等の購入に使用する。謝金は、ホヤ飼育及び海水汲みに携わる学生への謝礼や、論文校閲費。旅費は、学会参加の為の交通費。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Brief hypo-osmotic shock causes test cell death, prevents neurula rotation, and disrupts left-right asymmetry in Ciona intestinalis.2013

    • Author(s)
      Katsumoto S., Hatta K. Nakagawa M.
    • Journal Title

      Zool Sci.

      Volume: 30 Pages: 352-359

    • DOI

      10.2108/zsj.30.352

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] カタユウレボヤ幼生の神経ネットワーク2012

    • Author(s)
      高井健太、八田公平、堀江健生、笹倉靖徳、中川将司
    • Organizer
      日本動物学会第83回大会
    • Place of Presentation
      大阪大学豊中キャンパス(大阪府)
    • Year and Date
      20120913-20120915
  • [Presentation] Neuronal activity in Ciona embryo.2012

    • Author(s)
      中川将司、深野天、堀江健生、笹倉靖徳、宮脇敦史
    • Organizer
      日本比較生理生化学会第34回大会
    • Place of Presentation
      総合研究大学院大学(神奈川県)
    • Year and Date
      20120706-20120708

URL: 

Published: 2014-07-24  

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