2012 Fiscal Year Research-status Report
トランスジェニックホヤを用いた神経葉ホルモンの卵巣における新規機能解明
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23570100
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
川田 剛士 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所, 研究員 (90300821)
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Keywords | カタユウレイボヤ / バソプレシン / オキシトシン |
Research Abstract |
1.卵巣形態形成におけるホヤバソプレシンの遺伝子発現・動態解析 我々は前年度に、ホヤバソプレシン遺伝子のプロモーターの下流に蛍光タンパク質遺伝子を導入したトランスジェニック体を確立し、その観察から成長過程の卵巣においてホヤバソプレシン遺伝子のプロモーターが活性化されることが示されていた。この結果を追証するために、同トランスジェニック体の卵巣から抽出したRNAを鋳型にRT-PCRを行い、少量ながらホヤバソプレシン遺伝子が発現していることを確認した。さらに成長過程の野生型ホヤの卵巣RNAを用いてRT-PCRを行ったところ、トランスジェニックホヤと同様、ホヤバソプレシン遺伝子が少量発現していることが示された。一方で、十分成長した成体のホヤの卵巣からはホヤバソプレシン遺伝子の発現をRT-PCRで確認できなかったことから、ホヤバソプレシンは成長期の卵巣で機能していることが示唆された。さらに成長過程のホヤの卵巣を用いた in situ hybridization の結果から、10μm以下の小さな細胞での同遺伝子の発現が示唆されている。 2.卵巣へのホヤバソプレシン投与による遺伝子発現変動解析 前年度は十分成長した成体のホヤ卵巣を用いた遺伝子発現変動解析を行なっていた。しかし上記のホヤバソプレシン遺伝子の発現解析の結果から、成長過程のホヤ卵巣を遺伝子発現変動解析に使用すべきと考え、成長過程の小さな野生型ホヤの卵巣の識別、摘出、二分割する技術を修得し、発現変動解析を行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスジェニック体の蛍光観察により、成長過程のホヤ卵巣においてホヤバソプレシン遺伝子の発現が示唆されていた。しかし野生型ホヤでの本遺伝子の発現は少量であり、その発現を検出するために多くの労力を割いたため、計画に遅れが生じている。またホヤバソプレシン受容体の反応を阻害するアンタゴニストの探索を既存のオキシトシン受容体アンタゴニストやバソプレシン受容体アンタゴニストから行ったが、ホヤバソプレシン受容体に対する有効なアンタゴニストを発見することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
成長過程のホヤ卵巣を二分割し、その片方にホヤバソプレシンを投与して無投与区と比較することにより、発現が変動する遺伝子を特定する。また前年度の in situ hybridization 実験により、ホヤバソプレシン遺伝子の発現が示唆されている小さな細胞が、どのような種類の細胞に属するのかを細胞マーカー遺伝子を用いて特定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子発現変動解析を行うにあたり、次世代シークエンサーを使用することを予定しており、そのために必要な試薬や消耗品を購入する。また細胞の種類の特定のために in situ hybridization を頻繁に行うので、その関連の試薬や消耗品も購入する。 これまでのホヤバソプレシン研究の成果を国際学会で発表するにあたり、その旅費を本科研費から捻出する。
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[Book] Recent Research Developments in Endocrinology, Vol. 52012
Author(s)
Satake, H., Sekiguchi, T., Sakai, T., Aoyama, M., Kawada, T.
Total Pages
19
Publisher
Research Signpost
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