2013 Fiscal Year Research-status Report
熱帯・温帯域のトゲダニ目の多様性研究と記載分類学者養成への取り組み
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23570102
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
高久 元 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40236203)
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Keywords | 分類学 / 生物多様性 / トゲダニ目 / 記載分類 |
Research Abstract |
今年度は国内では北海道北部を中心にマルハナバチ類に便乗するヤドリダニ類,トゲダニ類の採集を行うとともに,これまでに北海道内で採集された土壌性ハエダニ類の分類学的研究を行った。北海道内のマルハナバチ類に便乗するヤドリダニ類,トゲダニ類については分類学的研究および分布の詳細をまとめている段階である。土壌性ハエダニ類については,9月末に静岡県で開催された日本ダニ学会第22回大会でディアン氏(インドネシア科学院生物学研究所,現在は北海道大学大学院農学研究院博士課程所属)とともに口頭発表し,道内9地点で3属13種のハエダニ類が確認され,うち3属4種は未記録種,1属2種は未記載種であることがわかった。形態的特徴から判断して13種のうち少なくとも5種は真の土壌種であると考えられる。また,北海道内のハエダニ類はロシアとの共通種が多く,北方系の要素が入り込んでおり,本州とは様相が異なることが明らかになった。 国外では,11月から12月にかけて2週間ほどインドネシアのジャワ島,カリマンタン島に滞在し,昆虫便乗性ハエダニ類の採集を行った。カリマンタンでは南カリマンタンのバンジャルマシン周辺で調査を行い,約60個体の食糞性コガネムシ類を採集し,それらの体表からハエダニ類を含む約130個体のダニ類が採取された。カリマンタン島のハエダニ類を明らかにする上で重要な基礎データとなると予想される。 論文に関しては,ジャワ島のボゴール植物園内のオオミツバチの巣から採集されたハエダニ類の分類学的研究の論文1編が出版されたほか,東カリマンタン島のハエダニ類の記載論文を現在投稿中である。 若手分類学者養成については,国内の農業試験場の研究者や韓国の大学院生への土壌性トゲダニ類の分類・同定に関する指導および共同研究を行い,現在論文も作成中である。またディアン氏の研究・論文指導も継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道内でのマルハナバチ類に便乗するトゲダニ類,土壌性ハエダニ類など様々なダニ類の採集,および同定・分類を行うことができ,国内学会で共同発表を行うことができた。また国外でもこれまでほとんどダニ類の調査がなされてこなかったインドネシア・カリマンタン島で採集を行うことができた。若手分類学者養成についても,昨年度京都で開催した土壌ダニセミナーは今年度は開催できなかったものの,共同研究を通じて国内外の研究者への分類・同定の指導を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,北海道内での土壌性,便乗性ハエダニ類,トゲダニ類,ヤドリダニ類の採集を継続し,土壌性ハエダニ類およびマルハナバチ便乗性のダニ類に関しては記載論文をまとめたい。また,国外のダニ類に関しては,インドネシアのジャワ島,スラウェシ島などでハルティニ氏(インドネシア科学院生物学研究所研究員)が採集したハエダニ類の標本が多数あり,それらの記載論文の作成を急ぐとともに,ディアン氏と取り組んでいるカリマンタン島のハエダニ類の記載論文に関しても進めていく。 若手分類学者養成に関しては,土壌ダニセミナーを開催するとともに,国内外の若手研究者と共同研究を進めながら,分類・同定の指導を行い,分類学者養成に努めていく。
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Research Products
(4 results)