2011 Fiscal Year Research-status Report
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23570103
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50332482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30249908)
山田 一孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (80292093)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機能形態 / アザラシ / CT |
Research Abstract |
平成23年度は、海生哺乳類のうちゼニガタアザラシ1個体の後肢の可動域をCTスキャンを用いて撮影し、得られた画像を三次元立体構築し考察をおこなった。 解析の結果、アザラシは伏臥で特に力を加えない状態 (standard position) においては、股関節が外転し、膝関節は約90°に屈曲しており、足根下腿関節において距骨は脛骨に対して外側を向いていた。また、足首の可動においては体軸に対して外側および内側への広い可動域を持っていた。外側へは距骨が足根下腿関節面を前方にスライドして足首が屈曲し、さらに距踵中心関節が可動し足は回内して足底面がやや背側を向いていた。内側へは距骨が足根下腿関節面を後方にスライドすることで足首が伸展し、距踵中心関節を含む足根関節も大きく後方へスライドし、さらに足根中足関節も大きくスライドすることで足全体が内側へ可動していた。背側、腹側方向においては、その方向への足根下腿関節の可動はほとんど認められなかった。しかし、腹側方向へは、足根骨や中足骨が可動によって足の回外と肢端部関節の屈曲が生じ、その結果肢端は腹側を向き、足底面は内側方向を示した。背側方向へは、足の回内によって足底面は内背側方向を向いていた。膝関節では、膝を屈曲させたときに大腿骨と下腿骨のなす角は鋭角にはならず、さらに、伸展させたときでは180°まで伸びきることはなかった。股関節は頭側に回内、尾側に回外しながら可動していた。 本研究の成果は、アザラシの遊泳メカニズムを把握し、生物工学的に応用する上で貴重なデータとなりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度において、ゼニガタアザラシ前肢およびネズミイルカのCT画像解析もおこなう予定であったが、撮影したゼニガタアザラシ後肢の画像データが当初の予定に比べて膨大であり、その解析と考察に時間を有したことから、本年度はゼニガタアザラシ後肢の解析に留まった。しかし、得られたデータは予想以上に膨大かつ価値あるものであったことから、内容的に充実した考察をおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度におこなうことのできなかったゼニガタアザラシおよびネズミイルカの前肢のCT画像解析をおこなう予定でおり、ゼニガタアザラシおよびネズミイルカの前肢を可動させCT画像撮影をおこない、その可動範囲を解析することでゼニガタアザラシやネズミイルカが前肢を機能形態学的にどのように使用しているかを把握する。また、昨年度のデータを学会や論文にて発表することも予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画であるが、まずはCTにおけるデジタルデータのストックや出力関連の消耗品に使用予定でいる。また、デジタル画像撮影後の検体の骨格標本作製のためにも使用する。さらに、研究成果を論文や学会で発表する予定でおり、学会への旅費や論文投稿の経費にも使用する予定でいる。
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