2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大古代湖は最上川水系の魚類のレフュージアだったのか?
Project/Area Number |
23570105
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 教授 (40292411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 剛 東京農業大学, 農学部, 准教授 (00581844)
千葉 悟 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (80599431)
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Keywords | 遺伝的集団構造 / 最上川水系 / 淡水魚類 / 古代湖 / 氷河期 / レフュージア / 人為的撹乱 |
Research Abstract |
約600万年前から400万年前にかけて2つの巨大淡水湖が発達していたとされる最上川水系付近で、独自の進化を遂げたと考えられる淡水魚類集団の解析を行い、古代湖が進化に及ぼした影響について考察した。 他の地域のハナカジカとは遠く離れた系統である山形産ハナカジカについて、未調査の最上川水系支流で集団解析を行った。その結果、どの支流集団も遺伝多様性がなく、最上川水系上・下流の2系統に分かれ、地史との関連性が示唆された。ニゴイ集団の解析を最上川水系と相模川水系で行った結果、最上川水系集団では特徴的な遺伝的構造はなかった。一方、相模川水系には2系統があったので、東北、関東、琵琶湖、広島産ニゴイと比較した結果、相模川水系の1系統は西日本からの移植に由来することがわかった。西日本には大陸と同種のコウライニゴイがいるとされているが、西日本産の種は明らかに中国、台湾のコウライニゴイとは別系統で、分類の見直しが必要であることが判明した。 東北の太平洋側を模式産地とするシナイモツゴと形態的、遺伝的に分化したシナイモツゴ近似種は、秋田、山形、新潟の池沼にも分布することが判明し、日本海側に発達していた池沼で種分化が進んだ可能性が示唆され、新規分類群としての記載を検討している。ジュズカケハゼ種群のうち、山形から新潟に分布する種の遺伝的多様性を調べた結果、山形県北部と南部に遺伝的に異なる2系統が認められ、地史との関連性が示唆された。これらの結果をまとめ、魚類学専門誌に論文投稿中である。最上川水系各支流でイワナ集団を解析した結果、多くは在来集団と見なされたが、特徴的な遺伝的構造はなかった。最上川水系との比較のために、相模川水系と近隣の金目川水系でアブラハヤの遺伝的集団構造を調べた。その結果、両水系のアブラハヤの遺伝的集団構造が明らかになったが、放流された個体も混入している可能性が高いことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)