2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20241771)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 陸産貝類 / 多様性 |
Research Abstract |
パラオ諸島に生息する陸産貝類の在来種で最も多様性の高いグループであるゴマガイ科について、これまでの調査で採集されたサンプルにもとづいて分類学的再検討を行った。パラオ産ゴマガイ類に対してはHungerfordia, Pseudopalaina, Diplommatina, Palainaの4属が用いられて来たが、過去の研究では属の定義が明確でなく、しばしば同じ種の属位が頻繁に変更されてきた。これまでの分類ではほとんど研究されていない軟体部や蓋、貝殻の内部形態を詳細に比較し、また分子系統解析も行って属レベルの分類を再検討した結果、1)パラオ産ゴマガイ類は、HungerfordiaとPalainaの2属に分類するのが妥当であり、2)PseudopalainaはHungerfordiaのシノニムとなる、3)Hungerfordia、Palainaはいずれも軟体部の形態にもとづく再定義が必要である、4)Diplommatinaはパラオ諸島には生息せず、Palaina属に含められている種は属位を再検討する必要があることが判明した。また、パラオ諸島産ゴマガイ類として最も特徴的な形態を示す、Hungerfordia属の縦肋が強く突出する種群を中心に分類学的再検討を行ったところ、これまでの分類で重視されてきた貝殻の外部形態には著しい種内変異を示すものがあることも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、23年度に野外調査および海外博物館の所蔵されている標本の調査を実施する予定であったが、分類学的再検討を充分に行った上で調査を実施する必要があることが判明したため、本年度はこれまでに採集されたサンプルを用いた研究を優先した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は現地調査を実施し、パラオ産固有種の生息状況を調査する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パラオ諸島での現地調査を実施し、ゴマガイ類、エンザガイ類等の絶滅危惧種を中心に生息状況を調査する。 mtDNA, ITS領域を中心に分子系統解析を多くのサンプルを用いて行い、種内変異や隠蔽種についての分類学的検討を詳細に行う。 海外の博物館に所蔵されている標本の調査を行い、絶滅種や個体数が減少した種について検討する。
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Research Products
(5 results)