2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20241771)
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Keywords | 国際研究者交流 / パラオ |
Research Abstract |
パラオ産陸産貝類で最も種多様性が高いゴマガイ科について、詳細な分類学的検討を行った。これまでパラオ産ゴマガイ類に対しては4属が適用され、属が明確に定義されないまま属位が頻繁に変更されてきた。分子系統解析の結果および軟体部をふくむ詳細な比較形態学的検討の結果から、1)パラオ産ゴマガイは2つの単系統群に分けられること、2)従来の殻形態にもとづく分類は正しい系統関係を反映していないこと、3)これまで分類形質として用いられていない歯舌、生殖器、蓋にも多様性があり、重要な分類形質となり得ることを明らかにした。属レベルの分類を再編成するとともに、縦肋が強く突出する種群の分類を再検討して10新種、2新亜種を認識した。この成果については現在投稿中である。 また、パラオ諸島での現地調査を行い、1950年代以降に生貝が採集されず絶滅したと思われていたAaadonta irregularisをタイプ産地とは異なる島から再発見した。これは分布域が狭い固有種であっても、必ずしも特定の島にのみ分布が限定されているわけではなく、タイプ産地で絶滅しても別の島で生き延びている可能性があることを示した知見として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、未記載種が多く種多様性の全貌が明らかになっていないゴマガイ類の分類学的研究を重点的に行った。属レベルの再編成、一部の種の記載については既に投稿したので、残りの未記載種についても今年度中に記載する予定である。 現地調査は予定通り実施し、生息状況について新たな情報を得ることができた。 海外の博物館に所蔵されている標本を検討する予定であったが、種レベルの分類体系の確立を優先したため、今年度は一部の標本について画像データからの検討を行うにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) パラオ産ゴマガイ類の未記載種を記載し、種多様性の全貌を明らかにする 2) 分類学的検討が遅れているゴマオカタニシ類についても種レベルの多様性を明らかにする。 3) 海外博物館に所蔵されている標本を検討し、絶滅した種や個体群を確認する。 4) Aaadonta irregularisが再発見された地点の周辺で再調査を行い、生息範囲や生息環境について明らかにする 5) これまでの研究結果をとりまとめ、固有陸貝の絶滅危険度を評価する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はゴマガイ類の分類学的検討および成果のまとめを優先したため、現地調査が予定よりも少なかったが、今年度は海外調査を重点的に実施する。 研究補助人件費:925x8時間x15週x10月=1,110,000 海外調査旅費:792,000 その他:現地調査傭船代 818,000 消耗品費:95195
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Research Products
(3 results)