2011 Fiscal Year Research-status Report
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23570126
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 和範 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (70270410)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / ロシア |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまでの調査などによって国立科学博物館に蓄積されている標本と新規採集標本に基づき、本州北東沖の日本海溝を中心とした深海性(漸深海帯から深海帯)腹足類の分類学的研究を行い、最終的に成果を新種の記載を含むモノグラフとして纏めるとともに生物地理的な考察を行うことである。最初の年度では、既に蓄積されている標本の検討を進めると同時に、JAMSTECが実施した「しんかい6500」による三陸沖潜航調査航海に参加して、新規標本の採集に努めた。また、それらと並行して海外の博物館に保存されているタイプ標本などの調査を行った。まず既存標本の検討では、蓄積標本を精査して種レベルで分別する作業を進めた。現時点では貝殻の形態に基づいて分類順に整理と写真の撮影を行っているが、既に論文として発表している1500m以浅の標本についても、改めて検討することで、同定を見直したり、また仮に同一種としてまとめていたものを複数の種の複合と認めた例もある。「しんかい6500」の潜航調査では、東北太平洋沖地震の震源地周辺の水深3200~5500mの海底から新規に44ロットの腹足類標本を得ることができた。これらの多くはこれまでの蓄積標本に含まれない、化学合成群集の構成種であることから、研究対象種の幅を広げることができた。また、得られた標本は99%エタノールで固定・保存することで、形態分類のみならず今後の遺伝子解析に用いることも可能となった。海外の博物館の標本調査では、サンクト・ペテルブルクのロシア科学アカデミー動物学研究所と、ワシントンDCの国立自然史博物館にそれぞれ2~3週間滞在して非常に大きな成果を上げることができた。多数のタイプ標本を検討することにより、従来同定不詳であった種を確定できただけでなく、それぞれの博物館に保管されている周辺海域の一般標本を調べることで、分類学的な問題が解決された例も多い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年の計画で、最終的に成果をモノグラフとしてまとめることを目指している。はじめの年度では、新たな標本の入手と、主に海外の博物館に保管されているタイプや比較・参考標本の調査が中心となっており、また蓄積標本の大まかな分類や写真撮影も順次進める計画となっている。現時点では上の概要に示したように、それらに沿って計画通りに進んでいるとみなされる。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度では、蓄積標本や新規標本に基づき分類学的検討を継続するとともに、海外の博物館での標本調査も実施する。分類学的検討では、貝殻に加えて解剖や内部器官(特に歯舌)の詳しい検討を開始する。海外の博物館の調査について、当初計画では北太平洋の冷水域と関連性の高い北大西洋の標本との比較研究のため、スウェーデンの博物館への訪問を計画していたが、前年度の調査によってロシア科学アカデミー動物学研究所(サンクト・ペテルブルク)には、極東の標本に加えて多くの北極海や北東大西洋の標本も保存されていることが判明したため、訪問先を後者に変更するとともに、日本海溝の深海帯の標本が保存されているモスクワの海洋研究所への調査も計画している。 第3年度以降は分類学的研究を集中的に進めるとともに、モノグラフの作成にも取り掛かり、第4年度の終わりまでに完成を目指す。また、主に新規材料に基づいて、エゾバイ科の一部のグループなど、形態的な情報のみでは詳しい分類・系統関係を明らかにすることが困難なもので、COIなどの遺伝子の予備的な解析を行い、将来の発展的な研究に続けることも計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第2年度は、上に述べたような方針により、標本の詳しい形態学的検討と海外の博物館での標本調査に集中する。そのため、研究費の半分以上は海外への旅費に充て、残りを電子顕微鏡や組織学的研究遂行のための出費(消耗品や研究補助のための謝金)に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)