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2011 Fiscal Year Research-status Report

アフリカトリパノソーマの薬剤標的「シアン耐性酸化酵素」の酵素反応機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23570131
Research InstitutionKyoto Institute of Technology

Principal Investigator

志波 智生  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80401206)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsトリパノソーマ / diironタンパク質 / 膜表在型タンパク質 / アスコフラノン / X線結晶構造解析
Research Abstract

本研究では、アフリカ睡眠病の標的タンパク質であるトリパノソーマのシアン耐性酸化酵素(TAO)の構造を様々な状態で明らかにすることによって、TAOの酵素反応メカニズムを解明して、さらに薬剤の候補となる強力な阻害剤の開発を目的としている。以下に本年度の成果を示す。・TAOの酸化型の結晶構造を鉄の異常分散効果を用いたFe-SAD法により決定し、分解能2.85オングストロームで明らかにすることができた。 TAOの構造は、膜結合型のdiironタンパク質としては初めて報告である。TAOは6本のヘリックスから構成されており、結晶中で強固な二量体を形成していた。また、疎水性アミノ酸残基の分布より、2本のヘリックスで構成される膜結合領域を推定できた。さらに、他の水溶性のdiironタンパク質と比較して、TAOは4つのグルタミン酸残基のみがdiironの配位に関与しており、2つのヒスチジン残基は配位結合を形成していないことが分かった。・TAOとその強力な阻害剤であるアスコフラノン誘導体との複合体の結晶構造を2.6オングストロームで明らかにすることができた。 用いたアスコフラノン誘導体は、トリパノソーマを感染させたマウスを完治できるということを確認している。アフコフラノン誘導体はdiiron近傍の疎水性ポケットに結合していることが明らかになった。アスコフラノン誘導体の6員環の部分は、4つの疎水性残基により強固に認識されていることが分かった。また、誘導体の疎水性-tailの領域の認識には、アルギニン118、グルタミン酸215、スレオニン219が主に関与していることが明らかになった。さらに、阻害剤が結合することにより、ヒスチジン165がdiironに配位し、大きな構造の変化が生じていることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

計画では、TAOの酸化型と阻害剤との複合体の構造を明らかにすることを目標としていたが、その両方の構造を分解能3オングストローム以上で明らかにすることができた。 その結果、TAOは6本のヘリックスから構成されており、疎水性アミノ酸残基の分布より、2本のヘリックスで構成される膜結合領域などの有益な情報を得ることができた。また、アスコフラノン誘導体との複合体の結晶構造を2.6オングストロームで明らかにすることができ、詳細な阻害剤の認識様式を明らかにすることができ、より強力な阻害剤の開発に重要な知見を得ることができた。

Strategy for Future Research Activity

今後、以下のような研究を計画している。・得られた多数の阻害剤複合体の構造とインシリコスクリーニングを用いて、より強力な抗トリパノソーマ薬の候補を決定する。インシリコスクリーンの精度を上げるためにも分解能の向上を試みる。・還元型の構造を明らかにする。また、酸素の結合部位を決定するために、アジド化合物との複合体の構造を明らかにする。反応機構の解明のためにも還元型や酸素結合型の結晶構造を明らかにする。・他のアスコフラノン誘導体との複合体の構造を明らかにする。アスコフラノンとは異なる骨格を持つ阻害剤が明らかになり、その阻害剤の認識機構解明のためにも複合体構造を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度の研究費の繰越すことになった理由は、所属が6月に変わったために、予定していた研究費が使用できるようになったのは9月からで、研究環境を整備するために時間を費やしたために当初の計画より使用した金額は少なくなった。繰越した金額については、購入を予定していた試薬などを中心に購入する予定である。平成24年度の研究費使用計画は、実験用試薬、結晶化プレート、プラスチック製品などの消耗品と放射光実験施設などで実験を行うための研究実施旅費と学会発表などを行う成果発表旅費などに使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] トリパノソーマ原虫のミトコンドリアの内膜に局在する「シアン耐性酸化酵素Trypanosome Alternative Oxidase (TAO)」の結晶構造2011

    • Author(s)
      志波智生
    • Organizer
      日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      国立京都国際会議場
    • Year and Date
      2011年9月21日
  • [Presentation] アフリカトリパノソーマの薬剤標的「シアン耐性酸化酵素Trypanosome Alternative Oxidase (TAO)」の結晶構造2011

    • Author(s)
      志波智生
    • Organizer
      日本結晶学会年会
    • Place of Presentation
      北海道大学
    • Year and Date
      2011年11月24日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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