2013 Fiscal Year Annual Research Report
食中毒を引き起こす細菌毒素タンパク質の構造生物学的研究
Project/Area Number |
23570134
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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Keywords | 構造生物学 / 食中毒 / 毒素タンパク質 / ウエルシュ菌 / 結晶化 |
Research Abstract |
ウェルシュ菌(Clostridium perfrinfens) は大量食中毒の原因菌の1つで、自然界に非常に広く分布している。ウェルシュ菌は耐熱性の芽胞を形成する際、CPE(Clostridium perfringens enterotoxin)という毒素タンパク質を産生し、これが食中毒の原因となる。CPEはN末端側に細胞毒性領域、C末端側に受容体結合領域を持つ分子量約35kDa、319のアミノ酸残基からなるタンパク質である。。 本研究により、CPEの全体構造の決定した。得られた構造から、CPEの孔形成に必要であるアミノ酸配列81~106は親水性残基と疎水性残基が交互に並び、α- helixを形成していた。この特徴的な配列は、α-hemolysinを代表とするβ-pore forming toxinにおいて頻繁に確認されている。この事からCPEもβ-pore forming toxinとして活性を示す事が示唆された。また結晶中では3量体構造をとり、中心にポアを形成しカルシウムと思われる大きな電子密度が存在していた。膜孔形成部とおぼしきhelix部分が伸びてβシートを形成することで活性型になる可能性があるが、α- helixにあるE94およびE110残基がこのイオンに配位し、対称のアミノ酸を含めて6配位のコンフォメーションをとり不活型構造を安定化していた。 またCPEの構造と機能の相関を解明するため、各種変異体タンパク質を作成し、精製結晶化を行った。多量体化を阻害することで不活型になるD48A変異体の結晶解析を行ったところ、野生型の構造と全く一致した。このことからも得られた構造は不活型のコンフォメーションであることが示唆された。このことから得られ3量体構造は不活型であると考えられた。更に活性型構造を得るために、E94GおよびE110Gの変異体を作成し、結晶化を行った。その結果、三角錐の形状の結晶を得ることが出来た。
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Research Products
(8 results)