2013 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌における新規脂質シグナルの解析とその生物機能の解明
Project/Area Number |
23570142
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖野 望 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90363324)
|
Keywords | セラミダーゼ / セラミド / 緑膿菌 / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、緑膿菌が分泌するスフィンゴ脂質分解酵素の遺伝子発現は基質となるスフィンゴ脂質が引き金となることを見いだしている。最近になって、緑膿菌においてスフィンゴ脂質依存性の遺伝子発現に関与する新規転写制御因子(Sphingolipid response regulator, SplR)を同定することに成功した。本研究では、緑膿菌における新規スフィンゴ脂質依存性の遺伝子発現機構を分子レベルで明らかにすることを目的とした。 本年度は前年度に引き続き、「SplRを介した遺伝子発現に関与するプロモーター領域の探索」と「SplRの高次構造解析」に関する研究を進めた。 「プロモーター領域の解析」に関しては、使用するDNA配列の最適化を行うことで、SplRとDNA断片の結合が強くなり、SplRと結合する脂質の特異性解析を感度良く行うことが可能になった。また、SplRが結合するDNA配列を明らかにすべくSplRにより発現制御を受けている遺伝子の推定プロモーター領域の配列を比較したところ、高度に配列が保存されている領域(約40 bp)を見出した。この領域で保存されているDNA配列の幾つかを変異させてプロモーター活性を測定することで、SplRが結合する塩基配列を明らかにすることが出来た。 一方、「SplRの高次構造解析」に関しては、MBP融合SplR(MBP-SplR)を使用して結晶化のスクリーニングを引き続き行った。その結果、SplRのリガンドであるSphを加えたときに結晶を得ることが出来たので、本結晶の解析を進めている。さらに、SplRとSphの結合を証明するために、ビオチン標識したSph(Biotin-Sph)とMBP-SplRを混合し、アビジンビーズで分離したところ、Biotin-Sph特異的にMBP-SplRが検出できた。このことから、SplRはSphと直接結合することで遺伝子発現を制御していると考えられる。
|