2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒト基本転写因子TFIIEのNMR法による全長構造の解明
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23570144
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
奥田 昌彦 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 特任助教 (60448686)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 基本転写因子 / 転写 / タンパク質 / 立体構造 / 溶液構造 / NMR |
Research Abstract |
基本転写因子は、RNAポリメラーゼIIを転写開始領域に正しく位置づかせ、最終的にメッセンジャーRNAを合成可能な状態に活性化するまでの一連の過程を担う大変重要なタンパク質である。現在、RNAポリメラーゼIIと基本転写因子から構成される生体超分子複合体(転写開始装置)の立体構造モデルの構築を目標に、構成因子の立体構造解析が世界中で進められている。 基本転写因子の1つであるTFIIEは、天然変性領域を広く含む等の問題により結晶化できずX線結晶構造解析の見通しが全く立っていない。そこで本研究は、溶液中の立体構造を決定できるNMR法を用いて全長構造の解明を目指す。TFIIEは(αβ)異種二量体で分子量が約8万4千で溶解度も低いため解析が大変困難であるが、得られる成果は転写開始装置の構造モデル化を通し立体構造に基づく転写開始機構の解明に多大に貢献すると期待される。 大腸菌の共発現系から調製した13C, 15N標識、および2H(100%), 13C, 15N標識全長TFIIEαβ複合体を用いて多次元NMR測定を行い、主鎖、側鎖の両シグナルを可能な限り帰属した。続いて、多次元NOESYを測定した。現在、NOEシグナルを帰属し水素原子核間距離情報を収集している。また、立体整列同位体標識(SAIL)法の導入を見据えて、大腸菌の無細胞発現系を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では平成23年度において(1)主鎖シグナルの帰属、(2)側鎖シグナルの帰属、(3)NOEシグナルの帰属、としていたので、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の方法でどの程度立体構造を決定できるかを見分ける。これを出来る限り早期(平成24年度の前半を目標)に実施する。従来の方法では立体構造解析が困難な領域については、新技術を試みる予定なので、それらを効率よく実施するための準備(文献調査、試薬の購入等)を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
50% 研究試薬の購入(安定同位体標識試薬、安定同位体標識アミノ酸、等)20% NMRスペクトル解析、立体構造計算、および発表資料作成用のパソコンの購入10% 消耗品の購入(NMRチューブ、データ記録媒体等)10% 学会参加(旅費)
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