2013 Fiscal Year Research-status Report
炎症微小環境ニッチとしてのヒアルロン酸ーSHAP複合体の形成機構の研究
Project/Area Number |
23570148
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, その他部局等, 名誉教授 (10022641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卓 麗聖 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, その他 (00399031)
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Keywords | 炎症 / 酵素 / 細胞接着 / ヒアルロン酸 / 血清タンパク質 |
Research Abstract |
(1)酵素因子の解析:質量分析法により、またtwo-hybrid法で見出した酵素因子候補の融合蛋白質の作製を行ったが全ての候補について常法では困難で、従って、様々な工夫を試み、pFLAG-ATSを用いた大腸菌発現系やp3xFLAG-CMV14を用いた動物細胞発現系がある程度可能であることを見出したが、残念ながら作製に成功した候補蛋白質から酵素活性は確認できなかった。 昨年度にグリオーマ細胞C6の培養上清中に高い酵素因子活性を持つ蛋白質を分泌することを見出し、この活性因子を従来のヘパリンカラムやITIアフィニティーカラムで精製できると報告したが、大量化を試みたところ、活性が精製途上で検出されなくなった。現在、原因を追求中である。 (2)酵素活性調節因子:グリオーマ細胞C6の培養上清中の酵素活性に影響する因子の解析が必要であると考え、上海薬物研究所から提供を受けた生薬糖質ライブラリーを用いて因子のスクリーニングを行い、因子の活性発現に対して強抑制活性を示す成分を数個見いだした。これらの分子実体について解析中である。 (3)炎症微小環境における機能研究:マウス骨髄由来間葉系幹細胞(培養下筋肉組織に誘導可能を確認済み)は移植すると正常骨格筋に定着しないが、損傷骨格筋組織に生着し筋肉組織になることを見いだした。損傷骨格筋組織が特異に間葉系幹細胞を刺激し、ITIからヒアルロン酸―SHAP複合体の反応を触媒できることが他の研究者により報告されているTSG6の分泌を促進することを見出した。さらに、TSG6蛋白質を投与した正常骨格筋に移植した間葉系幹細胞は生着できることを発見した。免疫染色で、ヒアルロン酸―SHAP複合体の形成が確認された。この結果は、TSG6によるヒアルロン酸―SHAP複合体の形成は損傷組織の炎症修復と再生に重要な機能を担うことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
候補分子の組換蛋白質から様々な発現条件を試みたが酵素活性を確認できず、また高い活性を検出したグリオーマ細胞C6の培養上清からの活性蛋白質の精製に未だ成功せず、前者については、再度の発現条件の再検討、また遺伝子クローンの選び直しが必要であり、後者については、酵素活性を制御する何らかの因子の存在が疑われ、現在、この可能性を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)酵素因子の解析:活性発現に適する蛋白質発現系をさらに選び直す。また活性測定方法も種々検討する。可能性のある候補因子が見つかり次第に、組換蛋白質の生物活性を確認した上で、当初の予定通り、遺伝子情報解析とノックアウトマウスの作成を行う。 (2)酵素活性制御試薬の開発:酵素に対して制御活性を示す様々な成分の精製と構造解析を進め、活性制御に関係する構造を同定し、活性制御剤の開発を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
SHAP転移酵素の候補分子の遺伝子情報を解析し、ノックアウトマウスを作成する予定であったが、調製した組換蛋白質から生物活性を確認できなかったため、計画が変更され、未使用額が生じた。 活性発現に適する蛋白質発現系を選び直し、組換蛋白質の生物活性を確認した上で、遺伝子情報解析とノックアウトマウスの作成を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(17 results)