2013 Fiscal Year Annual Research Report
αへリックスの構造変化が不可欠な活性型プロスタグランジンE2合成酵素1の構造研究
Project/Area Number |
23570153
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吾郷 日出夫 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 専任研究員 (70360477)
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Keywords | 膜タンパク質 / 結晶化 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
マイクロソーマルプロスタグランジンE2合成酵素(mPGES1)は、核膜や各周辺の小胞体に存在する膜タンパク質で、炎症に関わる脂質性情報伝達物質プロスタグランジン(PG)E2を生産する。mPGES1はグルタチオンを触媒中心とし、シクロオキシゲナーゼがアラキドン酸から生合成するPGH2を基質とする。シクロオキシゲナーゼを阻害する仕組みで働く抗炎症剤は広く用いられているが、重篤な副作用も知られている。そこで炎症性脂質メディエータPGE2産生の末端酵素であるmPGES1は、新しい作用機序の薬剤の開発対象として期待されている。 X線結晶構造解析を進めるには十分高い分解能までX線を回折する結晶が必要である。昨年度の研究で脂質メソ相にmPGES1を埋め込んで結晶化することで、3.7Å分解能までX線を回折する結晶を得た。メソ相で成長する結晶の平均的な大きさは10μm程で、この結晶からの回折強度データ測定には数ミクロンの太さまでX線を集光できるビームラインを使用する事が不可欠である。mPGES1の構造解析やその後の低分子との複合体構造解析を進める上では、測定で制約の多い結晶は好ましくないといえる。そこで、本年度はより大きな結晶を作るための検討を行った。実験方針としては、 文献情報があるn-オクチル-β-D- グルコシドの利用を中心に 、mPGES1分子間の相互作用が増加する事を期待して、アルキル鎖の長さが短い界面活性剤を結晶化で用いた。アルキル鎖の短い界面活性剤は、分裂酵母で発現したmPGES1を細胞膜から可溶化するには十分ではなく、一端n-ドデシル-β-D- マルトシドで可溶化して精製を行ってから、界面活性剤を置換する必要があった。条件検討の結果、n-オクチル-β-D- グルコシドで安定化した見掛けの粒形が単一のmPGES1を得ることが出来た。
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