2013 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造に基づくADAMプロテアーゼによるシェディング機構の解明
Project/Area Number |
23570156
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
武田 壮一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80332279)
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Keywords | プロテアーゼ / シグナリング / 構造生物学 / X線結晶構造解析 / 基質認識機構 / マルチドメイン構造 / タンパク質間相互作用 / ディスインテグリン |
Research Abstract |
ADAMファミリープロテアーゼは発生・分化、形態形成、あるいは癌やアルツハイマー病など様々な病態に関わる主に膜結合のプロテアーゼである。各種の増殖因子やサイトカインは膜貫通領域を持つ前駆体として細胞膜上に発現し、切断遊離(シェディング)されることで他の細胞へシグナルを伝える。この過程で働く主要なシェディング酵素がADAMファミリープロテアーゼである。本研究では、膜型ADAMによるシェディングの機構、特にどのように基質が選択されるか、その構造基盤を明らかにすることを目的に、蛇毒由来の遊離型のADAMであるmultactivaseをモデルとして研究を行った。Multactivaseは膜型ADAMの細胞外領域の大部分に相当するメタロプロテアーゼ(M),ディスインテグリン(D),システインリッチ(C)ドメインの3つのドメインからなる重鎖とC型レクチン様のドメインを持つ2本の異なる軽鎖からなるヘテロ三量体ADAMである。本研究ではMultactivase分子全体とMドメインを欠損したΔM分子の結晶構造解析を進めた。最終年度において、ΔM分子の2.55Å分解能での構造決定・精密化に成功し、分子全体モデルを構築した。同様なヘテロ三量体構造を持つ別の蛇毒ADAMであるRVV-Xとの比較から、軽鎖ドメインは長鎖のCドメインと結合することが予想されていたが、結晶構造では軽鎖ドメインは予想と異なり、DドメインのMドメイン側サブドメインと結合することが判明した。Multactivaseが基質であるプロトロンビンをどのように認識・切断するか、考察を進めている。
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