2012 Fiscal Year Research-status Report
多機能性プロテオグリカン分子創出のための糖鎖工学基盤技術の開発
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23570157
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柿崎 育子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302024)
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Keywords | プロテオグリカン / 糖鎖工学 |
Research Abstract |
本研究は、グリコシダーゼを用いたプロテオグリカンの糖鎖(グリコサミノグリカン)の組み換え技術の開発を目的としている。本年度は以下の研究を行った。 1. グリコシダーゼの反応基質としてのグリコサミノグリカンの調製(23-24年度継続):今年度は、23年度に蛍光糖鎖プライマーを用いて培養細胞で作らせた、プロテオグリカンの糖鎖とコアペプチドとの橋渡し糖鎖構造をもつオリゴ糖を各種クロマトグラフィーで分離し、各画分に含まれるオリゴ糖の組成を分析した。その結果、これまでと組成の異なるオリゴ糖が含まれることが示された。今後、このオリゴ糖画分をさらに精製し、詳細な構造を調べる予定である。これまでに得られていない構造の蛍光標識オリゴ糖が得られれば、組み換えの検討範囲が広がる糖鎖工学の素材となる可能性がある。 2. プロテオグリカンの糖鎖に作用するグリコシダーゼの基質特異性の解析:エキソ型グリコシダーゼの基質特異性の解析については、目的の酵素の入手が不可能となったために断念した。23年度に検討したグリコシダーゼのうち、ヒアルロニダーゼの基質特異性の検討結果をもとに、これまで試されていない糖鎖構造のグリコサミノグリカンをドナーとして、ヒアルロニダーゼによる糖転移反応を行い、生成物をHPLCで分析した。その結果、反応後に新たなピークが出現し、時間の経過とともにそのピーク面積が増大した。現在、このピークに含まれるオリゴ糖の構造に関する分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の具体的な目的、計画に「プロテオグリカンの糖鎖に作用するグリコシダーゼの基質特異性の解析」をあげていた。しかし、23年度半ばに、長年の蓄積された信頼度の高いデータの裏付けのある糖鎖関連試薬を扱う企業さんの試薬部門の終了に伴い、本研究での使用を考えていた糖鎖や各種酵素が入手できなくなった。別の企業さんでも一部の同等品は扱っているが、市販されていないものも多い。従って、報告されている酵素の基質特異性にとらわれずに、入手可能な酵素を片っ端から検討しようと考えた当初計画を変更し、今後も入手可能な酵素に絞って研究を進めることにした。現時点では、ヒアルロニダーゼに絞って、組み換え可能な糖鎖構造の範囲の拡大を試みているが、その可能性が出てきた。当初計画を修正した後、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の主な計画として、対象とするグリコシダーゼをヒアルロニダーゼに絞り、糖転移反応の新たな基質を探索する実験を継続して行う。一方で、ヒアルロニダーゼの糖転移反応によって糖鎖を天然の構造とは異なる糖鎖に組み換えたプロテオグリカンを調製し、その性質や活性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糖鎖組み換え反応に関する分析に係る消耗品に使用する。これに加え、23年度より、糖鎖関連試薬、特に、糖鎖工学の材料となるプロテオグリカン関連の市販品が入手困難(または入手不可)となったことから、これら原料の調製・精製と構造分析に係る消耗品に研究費の一部を充てる。原料の調製・精製と構造分析には、労力と時間を要することから、繰り越し分の研究費は、この作業のための研究支援者雇用の人件費として充てる。なお、繰り越し分は、震災後の物流の状況による研究の遅れおよび糖鎖関連試薬メーカーの営業終了の影響を受け、主として初年度に生じたものである。
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Research Products
(2 results)