2012 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類におけるヒスチジン含有ジペプチド、カルノシンの代謝とその生理機能の解明
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23570164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 宣明 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (20224173)
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Keywords | カルノシン / ジペプチド / ペプチド代謝 / アミノ酸代謝 |
Research Abstract |
カルノシンは哺乳類等の組織中に存在するジペプチドで、骨格筋と脳に特に多く含まれており、ペプチド代謝、アミノ酸代謝の恒常性の維持や、ヒスタミンなどの生理活性物質の産生などにおいて重要な役割を果たすと考えらる。カルノシンは通常のペプチダーゼでは分解されず、比較的安定に組織中に存在するが、われわれはこれまでに、哺乳類の組織からカルノシンを分解する酵素を同定し、解析を行ってきた。本研究では、カルノシンを分解しうるジペプチダーゼであるCN1とCN2の組織分布や酵素学的特性の解析を通じてカルノシンの機能を明らかにすることを目的として解析を行っている。 われわれは前年度までに、CN2が脳内のヒスタミンニューロンのみならず、腎臓や小腸において高レベルで発現しており、腎尿細管におけるペプチドの再吸収、小腸におけるペプチドの消化と吸収に関与することなどを明らかにした。また、CN1も脳、腎臓で高度に発現していることが既にわかっている。本年度はさらに、CN1の抗体を作成し、CN2との組織分布の比較を行い、CN2とあわせて、腎臓で発現する細胞の種類の詳細な解析を行った。また、CN1、CN2の精製タンパクを調整して、基質特異性等の相違について解析を行っており、基質特異性の面からもCN1とCN2の新たな特性が明らかになってきた。 また、これらと並行して、CN2の酵素反応機構、金属とのアフィニティ、安定性などに関する質量分析計を用いた解析を行っており、基質特異性などの酵素学的な特性と物理化学的特性、ならびに組織分布の知見等を合わせてジペプチダーゼの生理機能に関する検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、ジペプチダーゼCN1,CN2の抗体と組み換え蛋白質を調整し、組織分布、基質特異性等の比較、解析を行い、それぞれ新たな知見を得ることに成功している。また、並行して行っている質量分析を用いた複合体解析の結果と合わせることで、基質特異性と反応機構に関する新知見を得ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた基質特異性や組織分布に関する知見から、CN1とCN2の役割の違いについて検討し、さらにその分子的基盤について反応機構、基質との親和性、金属依存性などの点から比較し、解析を行う。また、ジペプチダーゼ、特にCN1では組織分布がヒトとマウスで大きく違うことから、動物種によってペプチド代謝におけるカルノシン等の機能が異なると考えられるので、CN1とCN2の動物種による違いを、生化学的特性などの観点からも検討する。さらに、カルノシン合成酵素の発現、精製、抗体作成等を試み、分解酵素との比較、検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Role of L-carnosine in the control of blood glucose, blood pressure, thermogenesis, and lipolysis by autonomic nerves in rats: involvement of the circadian clock and histamine.2012
Author(s)
Nagai K, Tanida M, Niijima A, Tsuruoka N, Kiso Y, Horii Y, Shen J, Okumura N.
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Journal Title
Amino acids
Volume: 43
Pages: 97-109
DOI
Peer Reviewed
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