2013 Fiscal Year Annual Research Report
一分子観察による植物のプロトンポンプV-ATPaseの細胞内pH恒常性維持機構
Project/Area Number |
23570171
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
岡本 晴子 岩手医科大学, 薬学部, 講師 (40552899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二井 將光 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (50012646)
中西 真弓 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (20270506)
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Keywords | Bioenergetics / V-ATPase / 酵素の触媒活性 / Glucose |
Research Abstract |
動植物の細胞内pHは、原形質膜および細胞内酸性オルガネラ膜に存在するプロトンポンプによって精密に制御される。本研究では、V-ATPase複合体の構成分子(サブユニット)がその作動性に関わる機構を分子レベルで明らかにした。V-ATPaseのATP触媒エネルギーと回転運動の共役は、触媒活性を持つサブユニットの構造変化により、膜内在のプロトン輸送ドラムに結合した中心軸サブユニットが回転することで成り立つ。coiled-coil構造によりヘテロ2量体を形成するEとGサブユニットは、ATP触媒活性サブユニットを外側から3カ所で支えており、その弾性が触媒部位に構造的なゆるみを与えることでATP触媒エネルギーと回転運動の効率的な共役を支えている。酵母のV-ATPaseでは、グルコース饑餓条件下において、ATP触媒活性部位とプロトン輸送部位が解離しエネルギー共役機能が失われ、プロトン輸送が停止する。我々は、まず、V-ATPaseの細胞外グルコース濃度依存的な触媒活性が、Eサブユニットに依存する事を明らかにした。また、EサブユニットのN末端E44のアミノ酸側鎖による構造的柔らかさが、グルコース依存的V-ATPaseの活性制御に寄与する事を発見した。V-ATPase機能のうち、特にグルコース依存性は動植物共通に重要な機構であり、このようなメカニズムの解明は、分野を越えて大きな波及効果をもたらすであろう。さらに、動植物のEサブユニットに特異的なアミノ酸配列に、V-ATPaseの温度依存的な解離会合を制御するエレメントを発見し、これらのアミノ酸が温度センターとして働く可能性を見いだした。また、V-ATPaseの反応速度及び熱力学的解析を行い、回転に確率的なゆらぎが起こる原因を詳しく検討した。この結果、世界で初めて、真核生物のV-ATPaseの回転速度が解明した。
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Research Products
(7 results)