2012 Fiscal Year Research-status Report
Rab11結合タンパク質とホスファチジン酸代謝による受容体輸送機構の解析
Project/Area Number |
23570174
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井上 弘樹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (10294448)
|
Keywords | Rab11-FIP5 / gamma-SNAP / alpha-SNAP / SNARE / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
ヒトをはじめとする高等動物の細胞は,細胞膜上に増殖因子や細胞外基質に対する多様な受容体を発現しており,それらの厳密な制御は細胞の生理的応答のみならず,がん等の病理現象とも深く関わっている。Rab11-FIPは,低分子量Gタンパク質Rab11の結合タンパク質として細胞膜への受容体の輸送に関与することが示唆されている。しかしながら,その機能および分子機構には未解明の点が多く残されている。本研究では,Rab11-FIPのうち細胞膜の酸性脂質であるホスファチジン酸と結合するFIPに焦点をあて,乳がん細胞において遺伝子増幅が知られるホスファチジン酸代謝酵素を介した受容体輸送制御の機構を分子レベルで明らかにすることを目指す。 本年度は,ホスファチジン酸と結合するFIPの一つであるFIP5と相互作用する分子の一つで,これまでその機能が十分明らかになっていなかったgamma-SNAPの機能を明らかにすることを中心に解析を行った。gamma-SNAPは,膜融合因子SNARE複合体の解離因子であるalpha-SNAPのアイソフォームであるが, SNAREとの結合や解離活性についてはほとんど解析が行われていなかった。今回,gamma-SNAPの機能を明らかにする目的で,その結合タンパク質を質量分析により同定したところ,複数のSNAREタンパク質が得られた。さらに,gamma-SNAPが,結合が認められたSNAREを含むSNARE複合体に対してalpha-SNAPと同等の解離能を有することを明らかにした。g-SNAPが受容体輸送に関与する可能性については現在解析中であるが,受容体のエンドサイトーシスに機能する予備的な結果を得ている。それに加え,現在,その他の輸送経路,すなわち,ゴルジ体が関与する順行および逆行輸送経路での輸送にgamma-SNAPが関与するか否かについても解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FIP5の結合因子であるgamma-SNAPについて新たな知見を得ることができ,その一部については本年度中に学会報告することができたので。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にあった乳がん細胞での解析に加えて,ヒト肝がん細胞株においてFIP5とその他FIPアイソフォームの機能を明らかにしていく予定である。また,特に,EGFなどの増殖因子とその受容体に集中して解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
受容体輸送を解析するため,細胞培養関連試薬,蛍光標識試薬等の消耗品を中心に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)