2013 Fiscal Year Research-status Report
高硫酸化コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸の生理的・病理学的機能の解明
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23570175
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
羽渕 脩躬 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, その他 (90024067)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / GlaNAc4S-6ST / 肝繊維化 / デコリン / MMP / 肝星細胞 |
Research Abstract |
私たちはマウス肝臓にGalNAc(4,6-SO4)残基を高度に含む高硫酸化コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS-E)を側鎖に持つデコリン、ビグリカンが豊富に存在すること、GalNAc4S-6ST KOマウスではGalNAc(4,6-SO4)残基が消失しすべてGalNAc(4SO4)残基に変化することを見いだした。肝臓デコリンは肝繊維化で著明に増加することが知られており、CS/DS-Eが肝繊維化に重要な関連を持つと考えられる。 肝繊維化に及ぼすCS/DS-Eの役割を解明するため、野生マウス及びGalNAc4S-6ST KOマウスに四塩化炭素/ミネラルオイル混合溶液(四塩化炭素として2ml/kg)を週2回、9回腹腔注射し、肝臓に繊維化を引き起こした。四塩化炭素投与後9週間飼育を継続し回復過程を観察した。回復過程で、正常マウスではコラーゲンの量が減少したが、KOマウスでは高い値を維持した。この傾向は実験回数を増やすことにより確認された。回復過程の遅れは、Sirius Red染色、抗Decorin抗体染色、CS/DS定量でも示された。コラーゲンの分解にかかわるMMP2, MMP9, MMP13, TIMP1,2の遺伝子発現をリアルタイムPCRで、MMP9活性をザイモグラフィーで調べ、遺伝子発現、活性ともにWTとKOで差が観察された。線維化の回復過程で働く因子を調べるため、肝臓星細胞を単離し培養する系を確立し、WT 星細胞でaSMA, MMP13, COL1の発現がTGFb、TNFaにより影響されることを確認した。今後WTとKOマウスから単離した星細胞を用いて、これらの遺伝子発現の調節を比較する。CS/DE-Eとの関連を調べるため、培養星細胞をCHase ABC処理、GAGの添加の実験を行うため、CS-E由来オリゴ糖の調製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
四塩化炭素投与による肝繊維化の進行過程ではCS/DS-E欠損マウスと野生型マウスでは違いが見られないが、回復過程ではCS/DS-E欠損マウスでは野生マウスよりも回復が遅れているという観察は、CS/DS-Eが繊維化の回復過程に何らかの機能を果たしていることを初めて示した成果である。肝臓ECM成分の代謝への高硫酸化CD/DSの影響を調べるには、肝臓組織を用いた観察に加えて、肝臓ECM成分の代謝に深く関わる星細胞を用いた細胞レベルの実験が重要である。私たちは野生マウス、KOマウスの肝臓から星細胞を単離し、培養する系を確立した。星細胞における遺伝子発現への高硫酸化GAGの影響を調べるため、硫酸化度の異なるCS-E、鎖長の異なるCS-E由来オリゴ糖を調製した。細胞レベルで種々のサイトカイン、GAGによる影響を調べることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究により主に肝繊維化の回復過程にCS/DS-Eが機能している可能性を示された。回復過程にはコラーゲン繊維の分解吸収過程やアポトーシスが関係する。肝繊維化の回復過程における高硫酸化CS/DSの機能を明らかにするため、これらの過程に関与する酵素やサイトカインの動態を主に星細胞を用いて調べる。培養星細胞を用いて、分解吸収過程に働くタンパク質のmRNAの発現に及ぼす炎症性サイトカインの影響、Chase ABC, heparinaseの影響、GAG及びオリゴ糖の影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究ではノックアウトマウスを使用しているが、ノックアウトマウスの繁殖が予定通りに進まなかったため、実験が遅れており、本年度中に論文投稿まで進めるのが困難となった。そのため来年度中に一部の実験を行い論文をまとめて投稿したい。 ノックアウトマウスを用いた実験の一部を行うため、必要な器具、試薬を購入する。論文投稿料、論文掲載料が必要となる。論文投稿後に追加実験が必要となった場合のため、ノックアウトマウスを継続して飼育する必要がある。
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Research Products
(8 results)