2011 Fiscal Year Research-status Report
プロトン・ポンプの高次細胞機能の発現と疾病に関する研究
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23570178
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
和田 戈虹 (孫 戈虹) 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (00314427)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
哺乳動物は、多種の高度に分化した細胞により構築されている。これらの細胞は形態・機能がそれぞれ特殊に分化し、その細胞に託された機能を協調して遂行することによって、高等生物が示す高次の個体機能を実現している。エンドソーム・リソソーム系のオルガネラは、これらの分化形質の発現に直接的に関与する。ゴルジ装置,エンドソーム,リソソームあるいは液胞などのエンドソーム・リソソーム系オルガネラは、段階的により低い内腔のpHを形成・維持する。オルガネラ内腔の酸性異常が様々な疾病の起因となっている。平成23年度は、細胞内オルガネラ酸性化の制御に着目し、V-ATPaseと疾病との関連を中心に研究を進めた。まず、V-ATPaseの特異的なニワトリモノクロナル抗体を作製した。次にこれらの抗体を用い、癌細胞転移におけるV-ATPaseのaサブユニット・イソフォームの役割を解析した。V-ATPaseが形成する細胞外酸性微環境が、癌の浸潤、転移、化学治療薬耐性などの性質に大きく影響を与える。転移活性の高いメラノーマ細胞B16-F10と転移性の低い他のメラノーマB16細胞と比較した結果、V-ATPaseのa3サブユニットの発現が転移活性と強い相関性を示すことが明らかとなった。a3の発現を抑えることによって、肺や骨への転移が顕著に抑制されたことはマウスの移植実験が示された。これは、新しい癌転移治療薬を探索する重要な基礎的知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に沿って研究を進めて、研究結果を以下の論文に発表した。1.Oshima, et al (2011) Physiological functions of (Pro)renin receptor in murine podocytes. J. Am. Soc. Nephrol.; 2.Saw, et al (2011) Vacuolar H+-ATPase subunit V0a1 and V0a2 cooperatively regulate secretory vesicle acidification, transmitter uptake and storage. Mol. Biol. Cell 22:3394-3409.;3.Nishisho, et al. (2011) The a3 isoform vacuolar type H+-ATPase promoters distant metastasis in the mouse B16 melanoma cells. Mol. Can. Res. 22:3394-3409. ;4.Sun-Wada, G-H, et al. (2011) Generation of chicken monoclonal antibodies against the a1, a2, and a3 subunit isoforms of vacuolar-type proton ATPase. Hybridoma 30:199-203.
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Strategy for Future Research Activity |
V-ATPaseと疾病の関連について、平成24年度は、レニン・アンジオテンシン(RA)系におけるV-ATPaseの生理的役割を中心に解析を進める。 レニン・アンジオテンシン系は、糖尿病の血管障害や糖尿病自体の発症に関与することが分かっている。(プロ)レニンは、この機構の律速酵素であるレニンの不活性型前駆体である。レニン・プロレニンは(プロ)レニン受容体に結合し、RA系とは別の細胞内シグナル伝達系が活性化されることが知られている。意外なことに、プロレニン受容体がV-ATPaseのアクセサリーファクターと同一の遺伝子であり、(プロ)レニン受容体が欠損すると、V-ATPaseの膜内在性ドメインの構成サブユニットが特異的に分解されることが明らかとなった。『レニン・プロレニンの機能発現と細胞内オルガネラ酸性化の関連』について、(プロ)レニン受容体条件致死マウスを用いて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費:本研究を遂行するに当たって、研究室職員が研究計画全般を行うため、また、研究室配属の学生も戦力になるので、研究支援者の雇用を考えていない。 機器:本研究に必要なマウス飼育施設、細胞培養施設、高感度傾向顕微鏡などの主要設備は、現有の設備を利用可能である。設備備品の購入は考えていない。 消耗品:計画規模の実験を遂行するための試薬・器具に要する金額を計上した。Reasonableな額であると考えている。遺伝子破壊動物の作製・維持にある程度の金額を計上した。 論文印刷代金、旅費、謝金など:現在の当研究室の実績から考えても無理のない額を計上した。
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