2013 Fiscal Year Annual Research Report
複製停止を感知する複合体による停止フォーク安定化機構の解明
Project/Area Number |
23570183
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
田中 卓 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (80425686)
|
Keywords | DNA複製 / 複製起点 / 複製再開始 / マイクロアレイ / PriA / RecA / 複製フォーク / フォーク安定化因子 |
Research Abstract |
細胞内で停止したDNA複製フォークは、フォーク安定化因子により保護・安定化される。これまでに、真核細胞で、Mrc1とSwi1-Swi3複合体が、フォーク安定化因子として合成停止フォーク構造を特異的に認識することを報告した。この認識は、複製再開始反応の最初期に必須の極めて重要な機能であるが、これらの因子が細胞内で実際に停止フォークに結合していることを示す証拠は報告されていない。複製再開始の分子機構解明のためには、安定化因子によるフォークの認識様式を明らかにすることが必須となる。大腸菌のフォーク安定化因子であるPriAタンパク質を、細胞内におけるフォークの停止を示すインジケーターとして利用して、染色体免疫沈降法(ChIP)と組み合わせたマイクロアレイ(chip)解析(ChIP-on-chip)を行った。チミン枯渇処理をした細胞において、複製起点oriC近傍にピークのクラスターを検出し、また、oriC-DnaA非依存的に開始される特殊な複製開始機構においては、複製終結点付近において新たに複製が開始されていることを示唆する結果を得た。組換えタンパク質RecAがこの領域に結合していることを新たに見出し、RecA依存性のR-loop形成がoriC-DnaA非依存性複製の開始に重要な役割を果たしている可能性を示唆する結果を得ている。実際にこの結合領域でDNA合成が開始される様子を、BrdUでパルスラベルしたゲノムを用いた、抗BrdU抗体によるChIP-on-chipで確認した。以上の結果は、複製停止から停止フォーク安定化を経て複製再開始に至る過程で起こる現象の直接的証拠を初めて示すものである。また、oriC-DnaA非依存性複製は、より原始的な現象を反映していると考えられることから、本研究は、複製機構の進化について、新たな視点を提供するものである。
|
Research Products
(1 results)