2011 Fiscal Year Research-status Report
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23570184
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
木村 洋子 (財)東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (80291152)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ユビキチン / 脱ユビキチン化酵素 / ホメオスタシス / ユビキチンリガーゼ / 熱ショックストレス |
Research Abstract |
ユビキチンは蛋白質分解のタグとしてだけではなく、修飾因子として多くの活動に利用されている。ユビキチンの量は適当量に保たれる必要があり、過剰にあっても不足しても細胞に悪影響を及ぼす。したがって、ユビキチンの量を制御する機構が存在する。制御機構としては、ユビキチン遺伝子の転写制御などが報告されているが、未知の部分が多い。細胞内でユビキチンは、単量体、たんぱく質が結合した型、フリーのユビキチン鎖の主に3つの型をとっている。我々は、出芽酵母より新規の因子Rfu1(Regulator for free ubiquitin chains 1)を同定し、Rfu1は脱ユビキチン化酵素 Doa4の活性を阻害することによって、フリーのユビキチン鎖と単量体のユビキチンの量を制御していることを明らかにしてきた。また、熱ショックストレス時にはRfu1は分解されることがわかり、ストレス時にはRfu1のないDoa4によって、フリーのユビキチン鎖から単量体ユビキチンが速やかに産生されると考えられた。Rfu1の分解機構を調べたところ、この分解はNEM, 及びo-phenantrorineで阻害され、またMG132処理によって部分的に阻害された。さらにユビキチンリガーゼRsp5の変異によって、Rfu1の分解が部分的ながら阻害されることがわかり、ユビキチン系の因子がRfu1の分解に関与する可能性が示された。また、Rfu1の分解はDoa4に結合して活性化する因子Bro1の過剰発現によって抑えられ、特にBro1のLYXL結合領域が必要であることが分かった。したがってDoa4の抑制因子であるRfu1の制御には、Doa4の活性化因子が関与していることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では熱ショック時におけるRfu1の分解に関与する因子を同定することが目的の一つである。そこで60個余りの既知のユビキチンリガーゼの欠損変異株や条件致死変異株にRfu1-3Fを発現させて、Rfu1-3xFlagの分解を調べた。その結果必須の遺伝子であるRsp5の高温変異株においてのみ、Rfu1-3xFlagの分解が遅延し、Rsp5が分解に関与するリガーゼであることが明らかになった。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。また、研究目的の段階で計画した分解に関与する因子のスクリーニングはRsp5が同定されたため実施しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策の一つは、同定できたRfu1の分解に関与する因子Bro1やRsp5がどのように働いているかを明らかにすることである。そのためには、まず、それぞれのタンパク質を精製して行う生化学的実験を計画し、因子間の結合や活性の変化を見る実験を遂行する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は遺伝学的な実験が多かったため、既に所有している変異株を用いておこない、物品費が予想より少なかった。今年は、生化学実験を多く行う予定であるため、生化学試薬を多く購入する予定である。また学会も数回参加する予定である。また、Rfu1の変異体も作成し、Rfu1のどの部分が分解に必要かという組みかえDNAの実験も行う予定である。
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