2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570184
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 洋子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主任研究員 (80291152)
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Keywords | ubiquitin / Bro1 / Rfu1 / 熱ショックストレス / endosome / 蛋白質分解 / Alix |
Research Abstract |
ユビキチンは蛋白質分解のタグとしてだけではなく、修飾因子として多くの活動に利用されている。ユビキチンの量は適当量に保たれる必要があり、過剰にあっても不足しても細胞に悪影響を及ぼす。したがって、ユビキチンの量を制御する機構が存在する。細胞内でユビキチンは、単量体、たんぱく質が結合した型、フリーのユビキチン鎖の主に3つの型をとっている。我々は、出芽酵母より新規の因子Rfu1(Regulator for free ubiquitin chains 1)を同定し、Rfu1は脱ユビキチン化酵素 Doa4の活性を阻害することによって、フリーのユビキチン鎖と単量体のユビキチンの量を制御していることを明らかにしてきた。熱ショックストレス時にはRfu1は分解され、これには部分的ながらユビキチンリガーゼRsp5とプロテアソームが働いていることを示してきた。Rfu1の分解は、Doa4をエンドソームに局在させ、Doa4を活性化する因子Bro1の過剰発現によって抑えられたため、Bro1の効果について詳細に調べた。まず、リコンビナントタンパク質を用いた実験により、Rfu1とBro1は直接に結合することがわかった。さらに結合部位を調べたところ、Bro1のAlix V-like domainと、Rfu1のカルボキシル末に存在するYPELモチーフが関わることがわかり、哺乳類細胞のAlix domainとウイルスタンパク質のYPXL モチーフとのアナロジーがあった。また、この結合はRfu1のエンドソーム局在にも重要であり、YPELモチーフの変異体ではエンドソームの局在が失われた。したがって、Bro1はDoa4だけでなく、Doa4のインヒビターであるRfu1の局在ならびに活性を制御していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、Rfu1とBro1の相互作用領域を大まかに決めることができた。またこの相互作用がRfu1のエンドソーム局在、及び、分解に大きな役割を果たすことを明らかにできた。これまでに酵母のAlix-V like domainに関する知見は報告されていなかったので、このドメインがYPXL モチーフと結合することを示した初めての例になる。また、脱ユビキチン化酵素の正の制御因子であるBro1が、負の制御因子であるRfu1を制御するという新しい事実も発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Rfu11とBro1の相互作用を詳細に検討する。Bro1のAlix V-like domainは哺乳類動物のAlix V domainに一次構造上はあまり似ていないが、ある程度似た立体構造をとることが構造モデルから予測できている。。Bro1のAlix V-like domain上でYPXL モチーフと結合する場所を決定し、哺乳類Alix V domainとBro1のAlix V-like domainの相同点、相違点を明らかにする。 2)Bro1の過剰発現は、熱ショック時におけるRfu1の分解を阻害する。このメカニズムを明らかにする。前年度までにRsp5がRfu1の分解に関与することがわかっているが、Bro1とRsp5の関係も明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)主に、精製蛋白質を用いた生化学的実験を行う。Bro1、Rfu1をGST、MBP融合蛋白質にて精製し、結合実験を行う。ある程度結合領域が狭められたら、点変異を導入した蛋白質を調整し、結合領域において詳細な実験を行う。 2)通常時及び熱ショック時におけるRfu1, Bro1, Rsp5の相互作用を免役沈降実験で調べる。
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