2012 Fiscal Year Research-status Report
GPIアンカー型タンパク質の最終目的地を決定するメカニズム
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23570185
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横尾 岳彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (60358306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地神 芳文 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 招聘研究員 (30357496)
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Keywords | GPIアンカー / 細胞壁 / 細胞膜 / 酵母 / マイクロドメイン / 脂質ラフト / 糖鎖生物学 |
Research Abstract |
GPI アンカー型タンパク質(GPI-AP)の有する脂質の構造の違いが GPI-AP の最終目的地(細胞膜あるいは細胞壁)を決定している、という可能性を検証するため、細胞膜にとどまりセラミド型の GPI を有する Gas1p と、細胞壁に移行しジアシルグリセロール型の GPI を有する Cwp2p を用いて、以下のような実験を行った。 GPI-AP が細胞膜に留まるか細胞壁に移行するかは、タンパク質のωサイト上流のアミノ酸配列が重要な役割を担っていることが、従来より報告されていた。この報告と、「細胞膜の GPI-AP はセラミド型、細胞壁の GPI-AP はジアシルグリセロール型」という私たちの提唱する仮説との関連を探るため、ωサイト上流を Cwp2p のそれに改変したキメラ型 Gas1p の挙動を調べたところ、細胞壁により多く移行することが、平成 23 年度の研究で明らかになっていた。もし、Cwh43p がωサイト上流の配列を認識して、セラミド変換を行う/行わないを決定し、その結果生じた GPI 脂質の種類の違いが GPI-AP の最終目的地を決定しているならば、cwh43 破壊株ではジアシルグリセロール型の GPI 脂質しか生じないため、ωサイト上流の配列を改変した効果はキャンセルされるはずである。しかしながら、cwh43 破壊株においても、ωサイト上流改変型 Gas1p は依然として細胞壁により多く移行した。このことより、ωサイト上流の配列に応じて細胞壁あるいは細胞膜への局在を決定するメカニズムは、Cwh43p によるセラミド変換とは独立した、別のシステムとして稼働していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記述した研究実施計画におおむね沿った形で研究が進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね今の方向性を保ちつつ、さらなる研究の進展を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究所の放射線施設の一部が節電対応で使用休止となった関係で、平成 24 年度にはアイソトープを用いた実験を行うことができなかった。そのため、アイソトープおよび関連する実験用品への充当分が次年度使用額となった。平成 25 年度においては、事業所内の他の放射線施設を使用して、次年度使用額となった研究費を用いてアイソトープ実験を行う予定である。
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