2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 宗仁 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90302801)
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Keywords | 蛋白質 / 生物物理 / 天然変性蛋白質 / 分子認識 / フォールディング |
Research Abstract |
本研究では、天然変性蛋白質が標的蛋白質を認識する反応の分子機構の解明を目的とする。蛋白質の分子認識機構として、構造選択機構と誘導適合機構が提唱されている。前者は、蛋白質がフォールディングしたあとに標的分子と結合すると考える。一方、後者では、蛋白質が標的分子と結合したあとにフォールディングすると考える。どちらのメカニズムが妥当なのかを解明することを目指す。本年度は次の成果を得た。 1.天然変性蛋白質HIV-1 TatによるTAR核酸認識の分子機構を、ストップトフロー蛍光法を用いて詳細に解析した。その結果、反応開始後数ミリ秒以内に大きな蛍光強度変化があり、その変化量がTAR濃度に依存することが示された。このことは、数ミリ秒以内にTat-TAR結合反応が起きていることを示唆する。また、その後の反応は1つの指数関数で表すことができ、その速度定数はTAR濃度に依存せず一定であった。すなわち、このフェーズはTatのフォールディングに由来すると言える。以上の結果から、Tatは数ミリ秒以内にTARと結合後、フォールディングして最終的なTat-TAR複合体を形成すると考えられる。したがって、Tat-TAR認識反応は、誘導適合機構によって起きると考えられる。 2.天然変性蛋白質c-Mybは、転写コアクチベータCBPのKIXドメインと結合してフォールディングする。c-MybによるKIX認識反応を、R2緩和分散法などのNMR法によって詳細に調べた。その結果、c-Mybは遊離状態において、KIXと結合しやすい中間状態構造へマイクロ秒以内にフォールディングすること、また、c-Mybはこの状態から素早くKIXに結合することが示された。したがって、c-Mybは、誘導適合機構よりもむしろ、構造選択機構に近いメカニズムで分子認識をすると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、天然変性蛋白質Tatとc-Mybによる標的蛋白質認識機構に関して新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、当初の研究計画通りに研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、天然変性蛋白質の標的分子認識機構の研究を遂行するために、研究費を使用する。主に、消耗品費として用いる予定である。
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[Presentation] 天然変性タンパク質による標的分子認識機構
Author(s)
新井宗仁、Josephine C. Ferreon, Peter E. Wright
Organizer
新学術領域「揺らぎと生体機能・水和とATP」合同公開シンポジウム「ゆらぎと水 - 生命のエネルギーと機能の分子機構を探る」
Place of Presentation
大阪ガーデンパレス(大阪府大阪市)
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