2013 Fiscal Year Annual Research Report
カプセル化によるアミロイドβ可溶性オリゴマーのNMR構造解析
Project/Area Number |
23570192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 大 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70304053)
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Keywords | 分子シャペロン / GroE / NMR |
Research Abstract |
大腸菌により産生される分子シャペロンの一種である GroE というタンパク質は、分子量 800kDa の巨大な複合体であり、内部に様々なタンパク質を結合する事によりそのフォールディング反応を助けている。筆者は、GroE のこのような性質を利用する事により、これまでに蛋白質を一分子ずつ隔離することにより自己凝集反応を抑制する「分子シャペロンカプセル化システム」を開発してきた。本研究はではこれを更に応用・発展させ、カプセル内に封入する分子数を厳密に制御するシステムの開発を行ない、アルツハイマーの原因物質であるアミロイドβペプチドに適用する。それにより、分子シャペロンカプセル内において重合度も含めて完全に均一なオリゴマー分子を作製し、高分解能溶液NMRによる構造解析を行なう事を目的とする。 アミロイドβペプチドに本手法を適用するのに先立ち、まず緑色蛍光タンパク質 (GFP) をモデル基質として用いる事により、分子シャペロンカプセルの安定性を解析した。従来までに得られている知見から、GroE の変異型である SR398 という ATP 加水分解活性能の低下したタンパク質を用いた場合、カプセルは非常に安定に保持されると期待された。しかしながら、予想に反して、分子シャペロン単独では内部に封入された GFP は数時間以内にカプセル外へと放出される事が明らかとなった。その一方で、分子シャペロンとともに過剰量の ATP 類似化合物を共存させる事により、内部に封入された GFP が 30 時間以上安定に保持される事が明らかとなった。この事は、ATP 加水分解活性能の低下した変異型 GroE において、ATP 類似化合物が結合・解離を繰り返しているという事を意味する。分子シャペロンの作用機構を理解する上で重要な知見が得られた。
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Research Products
(5 results)