2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570193
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浜田 大三 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (60372132)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / トリプトファン蛍光 / 両親媒性αへリックス / 腸管出血性大腸菌 |
Research Abstract |
天然変性蛋白質の作用機構を生物物理学的観点により明らかにし、その生体内における役割・機能に関する分子機構を原子レベルで解明するために、天然変性蛋白質の一つである腸管出血性大腸菌O157:H7由来のEspBによるαカテニン、ヴィンキュリン認識に関する解析を実施した。 昨年度までに、EspBのフラグメントを用いて、αカテニンとの相互作用領域を同定した(論文投稿中)。この領域では両親媒性のαへリックス構造が形成されていることが示唆された。そこで、該当する領域に対して、トリプトファン変異を部位特異的に導入し、トリプトファンの蛍光を用いたトリプトファン・スキャンニングを行い、αカテニンと直接相互作用する残基を確認した(論文作成中)。また、これと同時にEspBのフラグメントとαカテニンの複合体に対する結晶化を試みたが、現時点では、芳しい成果は得られていない。一方、EspBの多分子認識機構を解析するために、上記と同様な解析をヴィンキュリンについても行った。その結果、ヴィンキュリンへの結合においても、上記のフラグメント領域と同じ領域で、相互作用が起きていることが示唆される結果が得られた。このことは、少なくともEspBが、αカテニンと同じく、その両親媒性αへリックス領域を用いて、ヴィンキュリンへの結合に利用していることが示している。一方、興味深いことに、トリプトファン・スキャンニングの結果から、若干、結合に重要なサイトが、異なることが示唆された。 なお、蛍光ストップトフローによる解析をしたが、反応があまりに早く、その結合を解析することが困難であることが、明らかになってきた。次年度は、超高速混合連続フロー装置による解析などを追加する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結晶化や速度論的解析については、現時点で、芳しいデータが出ておらず、結晶化条件の検討や超高速混合連続フロー装置の活用等、今後の工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶化については引き続き、条件検討を続ける。一方、X線小角散乱による解析を実施し、構造モデルの構築を試みる。また、速度論的解析には、超高速混合連続フロー装置の活用や、さらなる変異体を作製し、反応速度を遅くするなどの工夫を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表と放射光施設におけるX線結晶構造解析、X線小角散乱のために旅費と、その他の実験に対する消耗品、最終報告のための冊子作製並びに、論文発表に用いる。
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