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2012 Fiscal Year Research-status Report

クライオ電子顕微鏡を用いた相関顕微鏡法による神経筋接合部の分子メカニズムの解析

Research Project

Project/Area Number 23570196
Research InstitutionUniversity of Hyogo

Principal Investigator

宮澤 淳夫  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (60247252)

Keywords神経筋接合部 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / クラスター / 分化 / 相関顕微鏡法 / クライオ走査型電子顕微鏡法 / クライオ透過型電子顕微鏡法 / 共培養
Research Abstract

神経筋接合部のポストシナプスでは、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)をはじめとした情報伝達に関与する複数のタンパク質がクラスターを形成している。クラスター内では機能的に意味のある分子複合体が形成さていると推測されるが、生体から複合体として取り出して解析することは困難である。今年度は、筋管表面のnAChRと、クラスター形成に深く関与している筋特異的受容体チロシンキナーゼ (MuSK)をそれぞれ異なる波長の蛍光分子と異なる大きさの金粒子を結合させた抗体で共標識し、共焦点レーザースキャン顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)による光子-電子相関顕微鏡観察を行うことに成功し、クラスター内でのnAChRとMuSKの分布は一様ではないことが明らかになった。
また、より生体に近い状態で観察するために、クライオ電子顕微鏡を用いた観察の検討を行った。プラスチックシート上で接着培養した筋管を急速凍結後、凍結切片を作製し、クライオ透過型電子顕微鏡で観察した。しかしながら、筋管の凍結切片は切削時に収縮してヒダ状になりやすいため、凍結切削が非常に困難であることが分かった。
そこで、急速凍結した細胞を、切削による変形のない状態で観察することを目的とし、一般的に観察対象となっていない凍結超薄切片作製後のブロック側の切削面に着目し、クライオSEMを用いて切削面の観察を試みた。ダイヤモンドナイフによる切片作製後の切削面は非常に平坦でそのままの状態ではクライオSEMで観察することはできなかったが、切削表面の氷をわずかに昇華させることによって細胞膜や細胞内小器官などの構造物が表面に突出し、染色操作なしにクライオSEMで観察できることを見出した。このでは、プラスチックシート上に接着した筋管細胞を細胞全体像が見える低倍率から、金ナノ結晶が観察可能な高倍率で観察でききることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、昨年度確立させた共焦点レーザースキャン顕微鏡と常温SEMによる筋管の相関観察法を用いて、nAChRとMuSKそれぞれの、筋管表面での分子の分布と局在を観察することができた。また、昨年度開始したクライオ電子顕微鏡観察については本格的に観察法の検討を行い、すでに手法として確立しているクライオ透過型電子顕微鏡による凍結切片の観察だけでなく、無染色無コーティングでの筋管の切削面をクライオSEMで観察するという今までに報告のない手法を確立することができた。クライオSEMでの観察手法については4つの学会発表を行い、おおむね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

一年目に確立させた光学顕微鏡と常温SEMによる相関顕微鏡法を、二年目に確立させた筋管のクライオSEM観察法に応用し、神経筋ポストシナプスタンパク質複合体の分子動態や配置、細胞の形態を、共焦点レーザースキャン顕微鏡とクライオSEMによる相関顕微鏡法を用いて解析する。
また、クライオSEMによる観察は、二通りの方法で試料調製を行い、それぞれについて解析する。一つ目の方法としては、筋管を凍結切削し、切削面を観察することによって、nAChRクラスターと細胞内部およびクラスター形成部分の細胞膜の形態を解析する。二つ目の方法としては、切削を行わずに凍結させた細胞周辺の氷を低温下真空中で昇華させることによって細胞表面を露出させる。そして細胞表面を観察することにより、nAChRクラスター分子の局在や配置の解析を行う。これらの観察は、神経筋シナプス分化に伴って生じるnAChRクラスター形成過程を追って行い、クラスター形成時の分子動態を明らかにする。
本研究の成果は論文として発表する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

消耗品費は、細胞培養、nAChRクラスター構成タンパク質を標識するための抗体およびそれらの調製、共焦点レーザースキャン顕微鏡および電子顕微鏡観察に必要な試薬、プラスチック器具、ガラス器具等の消耗品を購入するために使用する。旅費は、本研究に関する最新の情報収集と学会での研究成果発表のために使用する。また、学会参加および研究成果発表の費用としてその他経費を計上している。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Presentation (4 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Presentation] Observation method of intact cellular architectures by cryo-scanning electron microscopy2013

    • Author(s)
      Yuri Nishino, Yoshiko Ito, Atsuo Miyazawa
    • Organizer
      Nagoya Symposium - Frontiers in Structural Physiology
    • Place of Presentation
      名古屋大学豊田講堂(愛知県)
    • Year and Date
      20130122-20130124
  • [Presentation] クライオ走査型電子顕微鏡を用いた生物試料の切削断面観察法2012

    • Author(s)
      西野有里、伊藤喜子、宮澤淳夫
    • Organizer
      第35回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場(福岡県)
    • Year and Date
      20121211-20121214
  • [Presentation] Cellular nano- and micro-structures visualized by cryo-SEM2012

    • Author(s)
      西野有里、伊藤喜子、宮澤淳夫
    • Organizer
      日本顕微鏡学会 第56回シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学学術交流会館(北海道)
    • Year and Date
      20121119-20121120
    • Invited
  • [Presentation] クライオSEMのための、凍結ミクロトームを用いた断面作製法とクライオトランスファー技法の紹介2012

    • Author(s)
      伊藤喜子、西野有里、宮澤淳夫
    • Organizer
      日本顕微鏡学会 第56回シンポジウム
    • Place of Presentation
      北海道大学学術交流会館(北海道)
    • Year and Date
      20121119-20121120
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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