2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570197
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| Research Institution | Jichi Medical University |
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Principal Investigator |
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 教授 (20196439)
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| Keywords | ヘモグロビン / アロステリー / Ｘ線結晶構造解析 / 酸素平衡曲線 / ２状態モデル |
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| Research Abstract |
蛋白質分子の機能を調節している構造変化は、ヘモグロビンの事例を下敷きとしてT（tense）状態とR(relaxed)状態の２状態の平衡で説明されることが多い。しかし、最近の溶液状態での研究から、ヘモグロビンは動的平衡にある複数のコンホマー（構造状態）の集合体として存在することが次第に明らかになってきた。本研究は、平衡に存在する複数のコンホマーを結晶学的に構造・機能解析する新しい研究領域を開拓することを目的とし、平成２４年度には以下の実績をあげた。
１．複数のコンホマーから構成されるヘモグロビンの平衡状態を結晶解析するため、溶液中に存在する構造の異なる３個のコンホマーを丸ごと結晶非対称単位に取り込む新規の結晶型を同定した。この結晶型は、α1サブユニットとβ2サブユニットにCOが２個結合したNi(II)-Fe(II)混成ヘモグロビン（リン酸存在下と非存在下の２結晶）と水分子が４個結合したメトヘモグロビン（リン酸存在下の１結晶）から共通に得られた。
２．上述３つの同型結晶のＸ線構造解析に成功した。３つの同型結晶を比較すると、リガンドの個数、リン酸イオンの有無に応じたアロステリック平衡の違いを反映し、内包する９個のヘモグロビン分子の構造は全て異なっていた。更に詳細な構造比較の結果、９個のコンホマーは、TからRを経てR2に到るヘモグロビンの構造空間全域に連続的に分布しており、ヘモグロビンのアロステリック転移の完全なスナップショットを単一結晶型中で得ることができた。特に、リン酸非存在下の混成ヘモグロビン結晶中には、本研究の中心課題であるTとRの中間的な４次構造を持つP状態が含まれていることがわかった。一方、リン酸存在下の混成ヘモグロビン結晶中の対応する分子は典型的なT状態であった。
３．上述３つの同型結晶の酸素平衡曲線の測定を開始し、予備的なデータを収集した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成２４年度には、３つの同型結晶中の９個の独立なヘモグロビン分子の構造解析に成功し、単一結晶型中でのアロステリック転移のスナップショットを得ることができた。また、本研究の課題の中で最も難易度が高いと予想されていた、「TとRの中間的なアロステリック状態（P状態）の結晶構造解析」にも世界で初めて成功した。これら二つの研究成果は、長いヘモグロビン研究の歴史の中でも画期的であり、本研究の一番の難所を無事超えることができたと自己評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成２４年度に構造解析に成功した３つの同型結晶の酸素平衡機能解析を中心に行い、各コンホマーの構造と機能の関係を明らかにする。これらの結晶は、非対称単位中に構造の異なる独立な３個のヘモグロビン分子を含む特徴を持つので、酸素平衡曲線は複数の酸素親和性成分の和として解析する。また、平成２４年度に行った予備的実験の結果から、結晶中３分子のうちの1分子は酸素結合に協同性を示し、他の２分子は協同性を示さないことがわかったので、この特徴を加味した解析プログラムを作成し、非線形最小２乗法によるフィッティングを行う。
メトヘモグロビン結晶に関しては、測定前に酸素と結合しない酸化鉄（鉄３価）を酸素と結合できる鉄２価に還元する必要がある。結晶を壊さずにこの還元操作を実行するため、先ずCO存在下でメトヘモグロビンを還元しCO結合型（鉄２価）ヘモグロビンに転換後、光照射でCOを外し酸素型ヘモグロビンとし、酸素解離曲線を測定する方針である。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試料の調製、結晶化に用いる消耗品が主な研究費の内訳である。その他、成果発表に必要な旅費などが含まれている。研究遂行に必要なシステムは既に構築されている。したがって、本年度の備品購入の予定はない。
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Research Products
(1 results)
