2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570197
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 教授 (20196439)
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Keywords | ヘモグロビン / アロステリー / X線結晶構造解析 / 酸素平衡曲線 / 2状態モデル |
Research Abstract |
ヘモグロビンは、最もよく研究された蛋白質の一つとして生化学の教科書に取り上げられている。一部には基本的理解は達成されたとの誤解もある。これまで、多くの蛋白質の活性調節機構は、ヘモグロビンの事例を下敷きにして、T (tense)状態からR (relaxed) 状態への2状態転移で説明されてきた。しかし、肝心のヘモグロビンでは2状態モデル的な理解が定量的に成功していないのが実状である。本研究は、ヘモグロビンのアロステリック平衡に存在する全てのコンホマーの構造と機能を包括的に解析することを目的としてスタートした。前年度までの研究で、構造の異なる3個のコンホマーを結晶非対称単位に含む3種類の同型結晶を作製し、合計9種類の異なる4次構造をX線構造解析で決定している。平成25年度は更に以下の課題を進めて本研究をまとめた。 1.前年度までに得られた9種類のX線結晶構造に対して、Root-Mean-Square-Deviation(RMSD)解析、Difference-Distance-Matrix解析、Dimer-Dimer-Rotation-Translation解析を行い、これらの4次構造がTからRを経てR2(第2のリラックス状態)に到るヘモグロビンの構造空間全域にほぼ連続的に分布することを構造学的に証明し、ヘモグロビンのアロステリック平衡には教科書に書かれているよりもはるかに多くの構造状態が存在することを明らかにした。 2.顕微分光法を用いて上記3種類の同型結晶の酸素平衡曲線の直接測定を行い、9種類の4次構造の酸素親和性を全て決定した。 3.多くの研究グループがこれまで数10年間探し求めていたTとRの中間的な構造と機能を持つ新しいアロステリック状態(“putative intermediate allosteric state”と呼ばれている状態)を捕らえることに世界で初めて成功した。
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Research Products
(3 results)