2012 Fiscal Year Research-status Report
回転分子モーターF1(/V1)-ATPaseの回転子を人工的に作る
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23570199
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
古池 晶 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60392875)
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Keywords | 分子モーター / ATP加水分解 / 1分子計測 / 生物物理 |
Research Abstract |
ATP駆動の回転分子モーター、F1-ATPase(F1)は、その回転子(γサブユニット)角度とATP触媒部位の化学状態との関係が解明されている。しかし、ATP加水分解の化学エネルギーがどのように回転運動へと変換されるのか、についてはわかっていない。「どのような回転子なら回転運動が可能か」に答えることが、回転の動作原理に迫る最短コースだと考え、新しい方法として、金粒子やDNAなどのミクロ構造物に、回転子の微小領域(ペプチドなど)を修飾した人工回転子の作成を試み、その回転の可否や向き・振る舞いを調べる。 昨年度までは、まず従来の領域を削る方法を用いて、回転に関与している領域を限定(候補領域の選定・限定)することを行った。当初は、回転子領域(回転軸部分に相当)を遺伝子操作で削除した「軸なしF1」が回転可能である結果を踏まえ、その僅かな接触領域のどこかに「回転に必要不可欠な微小領域」があるという狙いに基づいていた。 本年度は、その予想に反し、回転子γには回転に必要不可欠な領域がないという驚くべき結果が得られた。「軸なしF1」とは対照的に、回転軸だけを持つ変異体を作成したところ、正しい方向にスムーズに回転した。この変異体と「軸なしF1」の回転子に共通なアミノ酸残基は、存在しない。回転子γには、回転に必須の領域がないことが明確になった。新たな問題、1)γのどの微小領域も回転可能な能力を持つのか、あるいは、2)回転子自体が棒状のミクロ構造物であればよいのか、人工回転子を作成することで明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き、従来の領域を削る方法を用いて、回転に関与している領域を限定(候補領域の選定・限定:23-24年度の計画)を行った。その結果、回転に必須のアミノ酸残基が存在しないことが証明された。予想外の結果であったが、当初の目的の一つである回転に必須の回転領域の決定については、「回転に必須の領域がない」という結論が得られたので、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
回転に関与している領域を限定する計画は、「回転に必須の領域がない」という結論が得られた。したがって、当初の目的・計画の一つであった「領域を足す方法による人工回転子の作成」で、回転に必要不可欠な領域を決定する意味はなくなった。残された問題は、γのどの微小領域も回転可能な能力を持つのか、あるいは回転子自体が棒状のミクロ構造物であればよいのか、である。人工回転子の作成によって明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ、当初の計画通りに進んだため、約5千円だけが次年度使用額として残った。次年度分の研究費は、当初の計画どおり、試薬等の消耗品および旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)