2013 Fiscal Year Annual Research Report
回転分子モーターF1(/V1)-ATPaseの回転子を人工的に作る
Project/Area Number |
23570199
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
古池 晶 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60392875)
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Keywords | 分子モーター / ATP加水分解 / 1分子計測 / 生物物理 |
Research Abstract |
F1-ATPase(F1)やV1-ATPase(V1)は、ATP駆動の回転分子モーターである。F1については、ATP触媒部位で起きる化学反応と回転子(γサブユニット)の角度とが対応付けられている。V1の回転スキームとの違いがわかるようになり、ATPの加水分解エネルギーを使って回転する方法は一通りではないことが分かってきた。換言すると、回転スキームを理解するだけでは、ATP加水分解という化学エネルギーがどのように回転運動へと変換されるのかという動作原理を導くことができない。視点を変え、「どのような回転子なら回転運動が可能なのか」に答えることが、動作原理に迫る最短コースと考え、本来の回転子から領域を削ったり、逆に回転子の微小領域を修飾した人工回転子の作成を試み、その回転の可否や向き・振る舞いを調べた。 当初は、回転子の回転軸部分(軸受と接触する部分)を遺伝子操作で削除した変異体「軸なしF1」が回転可能であることを踏まえ、残されたわずかな軸受との接触領域のどこかに「回転に必要不可欠な領域:アミノ酸配列」があるという狙いがあった。しかし、予想に反し、昨年度までに、逆に軸受と接触する部分だけの回転子をもつ変異体「軸だけF1」も回転することが分かった。この2つの変異体に共通のアミノ酸配列はもはやなく、「回転に必要不可欠な領域がない」という驚くべき結果が得られた。最終年度では、「軸だけF1」 が、野生型に比べて回転速度が3分の1程度、回転トルクも半分程度と十分に回転する能力が示された。 付加的な成果としては、V1で、触媒部位をもつAサブユニットを遺伝子操作でドメイン交換することで、ADP阻害(結合したADPが離れなくなる)への影響を調べ、ADP阻害に関わる領域と、その仕組みの一端を明らかにした。
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Research Products
(7 results)