2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570201
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 照久 独立行政法人理化学研究所, 三次元顕微鏡法研究チーム, チームリーダー (10450412)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 生体分子 / 蛋白質 / 電子顕微鏡 / 赤血球 / 膜輸送体 |
Research Abstract |
外向き型バンド3の二次元結晶の分解能を向上させるためにシート状結晶の作製に取り組んだ。まずは精製標品の再評価を行った。最終標品の電気泳動を行い銀染色による精製度のチェックを行った。その結果グリコフォリンAやアクアポリン-1等のマイナーなコンタミバンドを検出した。より精製度を向上させるためにイオン交換クロマトグラフィの溶出条件(NaClグラジエント勾配、ピークフラクションの取り方等)の最適化に取り組んだ。しかし精製バッチごとによるコンタミバンドの量の変化があったものの、バンドパターンには変化がみられなかった。これはB3MDとマイナーバンドの溶出保持時間がほぼ同じであるとともに、クロマトグラフィの条件以外にもコントロールできていない条件があることが考えられた。そこで以下2つのアプローチについて二次元結晶化と並行して実験を行った。1. クロマトグラフィ操作の前段階であるグリコフォリンAの選択的可溶化条件と塩析条件の最適化を行った。データを積み上げるにつれて、選択的可溶化条件は最終標品の収率に直接影響がある事がわかってきた。その結果現在のところ、C12E8の濃度を0.04%と塩析の塩濃度を終濃度で0.5 Mとした時に収率がもっとも良くなった。これらの最適化によってグリコフォリンAのコンタミは改善したが、アクアポリン-1のコンタミを改善する事はできなかった。2. その他のクロマトグラフィによる精製度の改善を行った。クロマトフォーカシングによる条件検討を行ったがアクアポリン-1のコンタミは改善されなかった。一方ヒドロキシアパタイトカラムによるクロマトグラフィでは、アプライ量の半分以上がフロースルー画分になってしまったものの、カラムに吸着した画分にはアクアポリン-1のバンドは含まれなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外向き型バンド3のシート状結晶の再現性を向上させるために精製方法の見直しを行う必要があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はヒドロキシアパタイトカラムによってより精製度をあげた画分を使って外向き型バンド3の二次元結晶化を行う予定である。また内向き型バンド3の精製方法の確立も平行して進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初期の計画立案時に認識していた以上に外向きバンド3の精製純度が安定していなかったため精製純度の向上に注力した。そのために精製以降のステップである二次元結晶化や電顕観察などを行う頻度が減り予定していた試薬や消耗品の使用量が減少し、結果的に884,993円の未使用額が発生した。次年度においては外向きバンド3の精製純度の向上を受けて、最適な二次元結晶化条件の検索を目的に、外向きバンド3の可溶化、カラム精製、透析による二次元結晶化、負染色による電顕観察というサイクルを精力的に行い、可能な限り遅れを取り戻す予定である。加えて内向きバンド3の精製方法の確立も平行して行う。H23年度における繰越金とH24年度に予定されていた予算額の合計をそれらのための可溶化剤や脂質等の試薬や消耗品の購入に充当する。
|