2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 拓郎 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324866)
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Keywords | DNA複製 / DNA組換え / クロマチン / 染色体再編 / セントロメア |
Research Abstract |
染色体の正確な分配に必要なセントロメア領域のDNA複製、組換え、クロマチン構造との相互関係を明らかにすることを目的に分裂酵母を用いて研究を進めている。昨年度までの解析から、驚くべきことに、セントロメアでは染色体腕部とは異なる機構で組換えが起こることが分かった。 (1)クロマチンリモデリング因子Rad54によるセントロメア領域の維持 相同組換え因子Rad51を破壊するとセントロメア・リピート配列を介した染色体再編により同腕染色体が高頻度に形成されることから、相同組換えがセントロメアの維持に必要であると考えられる。この可能性を検証するために、Rad51と共に相同組換えの中心的反応を担うRad54の染色体維持への関与を解析した。その結果、Rad54を遺伝子破壊すると同腕染色体が高頻度で形成されることが分かった。また、クロマチンリモデリング反応に関わるATP結合部位をアミノ酸置換したrad54KAやrad54KRでも同腕染色体の増加が観察された。これらの結果から、Rad51とRad54が関わる組換えがセントロメア領域の維持に重要であると考えられる。 (2)キネトコアによる組換え制御 セントロメア特異的なDNA配列により組換えが制御されるのかを知るために、セントロメア領域の全長約40-kbを染色体腕ura4遺伝子座に挿入した。この異所的セントロメア上に形成されるクロマチンをChIP解析により調べたところ、セントロメア辺縁部はヘテロクロマチン化していたが、中央領域にはキネトコア特異的因子CENP-Aは局在しないことが分かった。また、異所的セントロメアで起こる組換えについて調べたところ、真正セントロメアで見られた「交叉型組換えの抑制」や「Rad51非依存的組換えの抑制」も見られなかった。このことから、セントロメア中央領域のクロマチン構造がこの領域の組換えを規定すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セントロメアの複製、組換え、クロマチンの相互関係を解明することを目的に研究を進めている。これまでの解析から以下の成果が得られたことから、「おおむね順調に進展している」と考えている。 我々はセントロメアでは染色体腕部とは異なる機構で組換えが起こることを明らかにした。その要因として、セントロメア中央のキネトコア構造が重要であることが分かった。そこで、セントロメアのクロマチン関連因子の変異株を用いて解析した結果、セントロメア特異的ヒストンバリアントCENP-AやH3K9のメチル化酵素Clr4は組換え制御に重要でないことが分かった。ところが、興味深いことに、ヌクレオソーム様複合体CENP-TWSXの構成因子CENP-Sと、そのCENP-Sと相互作用するFANCMヘリケースがセントロメアでの交叉型組換えの抑制に重要であった。これらのことから、セントロメア特異的なCENP-TWSXがFANCMヘリケースの機能を介して非交叉型組換えを促進する結果、交叉型組換えや染色体再編が抑制されている可能性が考えられる。このように、これまでの解析からセントロメア特異的組換えとその背後にある分子機構が明らかとなりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)CENP-Sによるセントロメアの維持機構 CENP-SやCENP-Sを含むヌクレオソーム様複合体がセントロメア領域の維持に寄与するのかを明らかにする。CENP-TWSXとは別にCENP-TWやCENP-SXなどの複合体が形成されることが報告されている。そこで、CENP-Sに加えてCENP-W, CENP-Tの変異株を作成してセントロメアの交叉型組換えの抑制への関与を解析する。また、CENP-Sによる交叉型組換えの抑制効果がセントロメア特異的なものであるのかを知るために異所的セントロメアへの影響について解析する。そして、セントロメアでの染色体再編がCENP-SやFANCMなどにより抑制されるのかを明らかにする。CENP-Sと相同組換え因子のセントロメア局在の依存関係をChIP法や蛍光顕微鏡観察により解析する。 (2)セントロメア領域の早期複製の生理学意義 複製ヘリケースであるMCMはセントロメアに多く結合し、実際、セントロメアはS期初期に複製を完了する。しかし、そのMCM局在や早期複製タイミングの染色体維持への寄与については明らかとなっていない。そこで、これまでにMCM結合が低下するmcm6-S1変異株に、MCMの複製起点結合に働くCdt1をCENP-Cに融合することで人工的にセントロメア領域でのみMCM結合を回復させる。このとき、mcm6-S1変異株で観察されていた染色体分配異常やセントロメアの遺伝子サイレンシングの欠損が抑制されるかを明らかにする。予備実験の結果、プロモーターを工夫して発現量を制御する必要があることが明らかとなった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Telomere-binding protein Taz1 controls global replication timing through its localization near late replication origins in fission yeast.2012
Author(s)
Tazumi A, Fukuura M, Nakato R, Kishimoto A, Takenaka T, Ogawa S, Song JH, Takahashi TS, Nakagawa T, Shirahige K, Masukata H.
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Journal Title
Genes Dev
Volume: 26
Pages: 2050-2062
DOI
Peer Reviewed
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