2012 Fiscal Year Research-status Report
Pho85サイクリン依存性キナーゼによる環境ストレス応答と細胞周期制御の同調機構
Project/Area Number |
23570214
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西沢 正文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
|
Keywords | シグナル伝達 / ストレス / 細胞周期 / サイクリン / プロテインキナーゼ |
Research Abstract |
1. Pho4によるG1サイクリン発現抑制機構 アルカリストレス条件下でのCLN2発現制御について、既に (i) Pho4にはWhi5とは独立なCLN2発現制御経路があること、(ii) Ptk2はアルカリ条件下でCLN2転写を活性化する事を明らかにしたが、アルカリストレス条件下でも通常条件に比べCln2の安定性に大きな違いは見られなかったことから、CLN2発現制御は主に転写レベルで行われることが示唆された。Pho4とWhi5の関連をさらに解析した結果、Rim101、Pho4、あるいはCrz1をwhi5欠失株中で過剰発現させるとRim101とCrz1の場合はCLN2発現が野生型レベルであったが、Pho4過剰発現の場合には低下したままであった。HDACであるRpd3を欠失させるとアルカリ条件下でもPho4過剰発現下でもCLN2発現が回復した。このことは、Whi5同様Pho4もRpd3に依存してCLN2を抑制していることを示している。Pho4過剰発現がCLN3転写に及ぼす影響について調べたところ、whi5欠失株中ではCLN3転写量が低下し、rpd3欠失株中では野生型株と変わらないレベルであった。このことは、Pho4による制御がG1サイクリンの種類によって異なる可能性を示している。 2. アルカリストレスシグナルの伝達機構 既に、CLN2発現を抑制するWhi5もアルカリストレスシグナルによる制御を受けていることを示したが、pho85 rim101 crz1 pho4四重欠失株中でPho85-Pcl9を過剰発現させると、CLN2発現が昂進することを見いだし、このことをさらに確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pho4によるG1サイクリン発現制御機構についてさらに解析を進め、ストレスによるサイクリン発現制御を通した細胞周期制御の解明につながる結果が得られている。CLN2プロモーター領域のクロマチン構造については、細胞周期によるCLN2発現制御の観点から解析が行われているが、本研究のようにストレス応答の観点からの解析はまだ例がない。また、アルカリストレスシグナルの伝達機構については、Pho85による制御が、Pho85-Pho80がPho4、RIm101、Crz1の3つの転写因子の活性制御を行うことに加え、Pho85-Pcl9がWhi5を抑制することによっても行われることを明らかにし、アルカリストレスシグナルはこれらのCdk-サイクリン複合体の活性を抑えることによってCLN2発現を抑制することを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. Pho4がCLN2発現を抑制する機構について、CLN2プロモーター領域のクロマチン構造への影響を中心に解析を続ける。Rpd3以外のHDACをリクルートする可能性、HDACが相互作用するPho4以外のDNA結合因子を探索する。Pho4過剰発現がWhi5とHDACsの相互作用およびWhi5の核外輸送それぞれに及ぼす影響について調べる。 2. Pho85がCLN2発現を活性化する機構について、Pho85によるWhi5のリン酸化とHDACsとの相互作用についてWhi5のリン酸化部位変異体を用いて詳細に調べる。またPho4過剰発現がCdkあるいはPho85によるWhi5のリン酸化に影響を及ぼすかどうかをLC/MS/MSを用いて解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助員について適当な人材が見つからなかったため、予定していた費用を消耗品購入に振り替えた。また、効率的な物品調達を行ったため未使用額が発生したが、次年度の消耗品購入額に充てる予定である。その他の研究費については予定(交付申請書)通りに使用する計画である。
|
Research Products
(3 results)