2013 Fiscal Year Annual Research Report
Pho85サイクリン依存性キナーゼによる環境ストレス応答と細胞周期制御の同調機構
Project/Area Number |
23570214
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西沢 正文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
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Keywords | 細胞周期 / リン酸化 / ストレス応答 |
Research Abstract |
これまでにPho85がアルカリストレス応答に機能する機構について、(i) Pho85がその標的であるPho4、Rim101、Crz1およびCLN2発現を抑制するWhi5の活性を抑制することでCLN2発現を制御しており、(ii) Pho4によるCLN2発現抑制にはRpd3が関与していること、(iii) アルカリ条件下でCln2タンパク質の顕著な安定性変化はみられない、という結果が得られている。 Rpd3 HDACの関与について、CLN2プロモーター領域のクロマチン構造をPrimer extension法により高解像度で解析したところ、Rpd3の有無、アルカリ条件、Pho4過剰発現のいずれによってもヌクレオソームの配置変化を観察することはできなかった。また、ヌクレオソーム構造の変化に関与するNap1を欠失させてもCLN2発現への影響は見られなかった。Rpd3S複合体のサブユニットの一つであるRco1を欠失させると、CLN2発現上昇がアルカリ条件下でも観察される一方、Pho4過剰発現によるCLN2発現の低下は観察されなかった。一方、Rpd3L複合体のサブユニットの一つであるSds3を欠失させるとCLN2発現には変化がなかったが、Pho4過剰発現によるCLN2発現の低下をRco1欠失よりも更に抑圧することができた。しかしながらCLN2発現回復の程度はRpd3欠失よりも低かった。これらの結果は、Rpd3によるCLN2発現制御には2種の複合体が関与しているが、その機構はクロマチン構造の変化を介していないと考えられる。そこで、CLN2発現制御に関与する可能性が考えられる、WHI5転写を促進するHCM1、MBFおよびSBFを活性化するMSA1、そしてCln3を安定化するAZF1、それぞれの発現に対するPho85-Pho4の影響を調べたが、いずれの場合も顕著な変化は観察されなかった。 アルカリストレスによる細胞周期制御に Pho85-Pho4の系が関わる機構についての遺伝学的解析を進めることで、ここに記したような新しい知見が得ることができた。ただ、分子機構の解明は今後の課題として残されている。
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Research Products
(5 results)