2011 Fiscal Year Research-status Report
ストレスタンパク質ヘムオキシゲナーゼの熱ショック転写因子による発現制御
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23570216
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
井上 幸江 安田女子大学, 薬学部, 教授 (60159978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 玲子 安田女子大学, 薬学部, 教授 (50150967)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 転写制御 / ストレス応答 / 熱ショック転写因子 / ヘムオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
「目的」本研究では、様々なストレスに応答して誘導されるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の転写制御に、熱ショック転写因子(HSF)がどのように関与しているかを明らかにすることによって、複雑な発現調節機構を有するHO-1の生体防御機構における生理機能を明らかにすることを目的とする。「成果」1)野生型MEFとHSF1欠損MEFを用い、ヘムによるHO-1の誘導合成をウエスタンブロット法により解析したところ、HO-1の発現はHSF1欠損細胞の方が増強していた。このことは、HSF1はヘムによるHO-1の誘導合成に抑制的に働くことを示唆する。2)同様のMEFを用い、温熱刺激を与えたのちにヘムを添加し、HO-1の誘導合成を見たところ、HSF1欠損細胞では、温熱刺激によりHO-1の発現が著しく抑制されていた。このことは、熱ショックにより誘導される未知の転写因子が、HO-1の発現を抑制するが、その抑制をHSF1が解除することを示唆する。3)1)2)の結果をもとに、野生型MEFとHSF1欠損MEFを用いDNAチップ解析を行った。その結果、small Maf転写因子群が温熱刺激とヘム添加により5倍以上増加していた。small Maf転写因子群はダイマー形成により抑制性転写因子として作用することが知られている。「重要性」熱ショック転写因子が酸化ストレスの防御に働くHO-1の転写制御に深く関与していることが示され、生体防御機構の解明に新しい知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレスタンパク質ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)の熱ショック転写因子(HSF)による発現制御の解明とHO-1の生体防御における生理機能の解明が目的である。 H23年度の研究から、HSF1がヘムによるHO-1の発現誘導に、ストレスの違いによって正と負の両方の制御に関与していることが示された。また、HO-1の発現制御に、新たに別の転写因子small Mafが関与していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)DNAチップ解析でえられた転写因子群の発現変動を、刺激条件や時間経過を変えてRT-PCRで確認する。その結果をもとに、転写因子の変動をタンパク質レベルで確認する。2)HSF1と相互作用をもつ転写因子を免疫共沈降法により同定する。候補としては、DNAチップ解析でえられた転写因子群および、HO-1の転写制御に関与していると報告されているNrf2やBach1。3)Hsp70と相互作用をもつ転写因子を免共沈降法により同定する。候補としては、DNAチップ解析でえられた転写因子群および、HO-1の転写制御に関与していると報告されているNrf2やBach1。4)siRNAを利用して、HSF1やHsp70の発現を抑制し、HSF1欠損細胞でみられた現象の再現性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)リアルタイムRT-PCRに必要な試薬類・・・HO-1の発現制御に関与する転写因子遺伝子群の発現変化を解析する。2)抗体類・・・ウエスタンブロット法によるタンパク質の同定や免疫共沈降法によるタンパク質の相互作用を解析する。3)siRNAによる発現抑制実験に必要な試薬類4)細胞培養関連試薬(ウシ胎仔血清等)5)細胞培養やその他の実験に必要なプラスチック製品6)その他、生化学用試薬
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