2012 Fiscal Year Research-status Report
ストレスタンパク質ヘムオキシゲナーゼの熱ショック転写因子による発現制御
Project/Area Number |
23570216
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
井上 幸江 安田女子大学, 薬学部, 教授 (60159978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 玲子 安田女子大学, 薬学部, 教授 (50150967)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / ストレス応答 / 熱ショック因子 / 転写制御 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
熱ショック転写因子(HSF)は、温熱ストレスによって活性化され、熱ショックタンパク質(Hsp)を誘導合成することにより生体機能の恒常性を維持する。一方、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)は、ストレス応答タンパク質として見出され(別名Hsp32)、有害なフリー・ヘムを分解することによって酸化的組織障害に貢献している。様々なストレスに応答して誘導されるHO-1の転写制御にHSFがどのように関与しているかを明らかにすることによって、複雑な発現調節機構を有するHO-1の生体防御機構における生理機能を明らかにすることを目的としてマウス胎仔繊維芽細胞(MEF)を用い実験を行った。 その結果、1)温熱ストレスによるHO-1の発現誘導は、検出できなかった。2)ヘムによるHO-1の誘導は、野生型に比べHSF1欠損MEFの方が高かった。3)ヘミン添加と温熱ストレスの併用によるHO-1の発現誘導変化を解析したところ、野生型MEFでは、ヘミン単独によるHO-1の誘導とほぼ同じ程度であったが、HSF1欠損細胞では、温熱ストレスにより、ヘミンによる誘導が著しく抑制された。4)カドミウム添加によるHO-1の誘導も、同様の結果を得た。5)DNAチップ解析の結果をもとにリアルタイムPCRを行ったところ、両MEFにおいて、温熱ストレスによって小Maf転写因子群の発現が亢進していた。 以上の結果から、HO-1の発現制御にHSF1が関与していることは明らかとなったが、その詳細な分子機構は、まだ解明途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの結果から、HSF1によるHO-1遺伝子の発現制御は、当初予想していた熱ショック配列を介しての単純な正に制御とは異なり、他の転写因子との相互作用による複雑な制御を行っていることが示唆された。その候補として小Maf転写因子が関与していることがわかってきたが、まだその詳細は、未解決である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫共沈校により、HSF1や小Mafに結合するタンパク質の同定を行い、それらが、HO-1遺伝子の発現制御にどのように関与しているかを解析する。また、それらの因子がHSF1によるHO-1発現誘導にどのような影響を及ばすかについて、siRNAによる抑制実験やアデノウイルスベクターを利用した高発現系を構築して、検討する。 また、HO-1の発現制御に、HSF1によるクロマチン構造の修飾が関与しているかどうかを明らかにするために、細胞をヒストンアセチル化酵素阻害剤のトリコスタチンあるいは、DNAメチル化抑制剤の5-aza-2’-deoxycytidinで処理した後にストレスを負荷し、HO-1の発現変化をウエスタンブロットやリアルタイムPCRで解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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